米小説家エルモア・レナード氏が死去、映画『ゲット・ショーティ』などの原作者
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【8月21日 AFP】(一部更新)『ゲット・ショーティ(Get Shorty)』(1995年)など数々のアクション・犯罪映画の原作者として知られる米小説家エルモア・レナード(Elmore Leonard)氏が20日朝、ミシガン(Michigan)州デトロイト(Detroit)近くの自宅で死去した。87歳だった。同氏の公式ウェブサイトが明らかにした。前月末に脳卒中の発作を起こしていたレナード氏は、家族が見守るなか息を引き取ったという。
レナード氏は1925年10月11日、ルイジアナ(Louisiana)州ニューオーリンズ(New Orleans)生まれ。父親はゼネラル・モーターズ(General Motors、GM)の幹部で、一家は何度かの引っ越しを経て1934年にデトロイトに落ち着いた。
第2次世界大戦では米海軍の建設大隊に所属していたレナード氏は、戦後1949年に広告会社に就職し、余暇を利用して西部劇や短編小説を書き始めた。小説執筆に専念するため1961年に広告会社を退職したが、人気のあった西部劇がテレビドラマ界から消えると、最終的には犯罪小説を手がけるようになった。
生涯に45作品を発表した。50年以上にわたって幅広く読者を獲得し、亡くなる直前も46作目を執筆中だった。
レナード氏が原作者の映画は、ポール・ニューマン(Paul Newman)主演の西部劇『太陽の中の対決(Hombre)』(1967年)や、小説「ラム・パンチ(Rum Punch)」をクエンティン・タランティーノ(Quentin Tarantino)監督が映画化した『ジャッキー・ブラウン(Jackie Brown)』(1997年)、『アウト・オブ・サイト(Out of Sight)』(1998年)などがある。
レナード氏は2012年、全米図書協会(National Book Foundation)から米文学界への長年の功績をたたえる賞「Medal for Distinguished Contribution to American Letters」を授与されている。
■レナード小説の神髄は「会話」
レナード氏の小説の多くは、デトロイトやマイアミ(Miami)といった都会の汚れた裏社会を舞台に、警官やならず者、殺し屋たちが活躍する。善と悪に関する彼らの観念は多彩だ。
レナード氏は生前、自身の作品について、必ずしもストーリーが読者を引っ張るタイプの小説ではないと語っている。「私の小説が描いているのは人間たちだ。銃を手にし、ぎりぎりな状況に追い込まれた人間たちのね」
レナード氏の小説の読者たちは、登場人物たちが交わす、やいばのように研ぎ澄まされた鋭い会話に駆られて先を読み急ぐ。延々と続く情景描写や登場人物の独白などは、本筋には不要としてレナード作品では切り捨てられる。
米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)は2001年、文章を書く際に留意すべき10の要点を記したレナード氏の散文を掲載したが、同氏の訃報にファンたちが再びこの散文をツイッター(Twitter)上に投稿し広めている。
散文の中でレナード氏は「登場人物について詳しく説明しない」「場所や物事の詳細な描写にまで深入りしない」などの留意点を挙げている。
また「読者が読み飛ばすであろう部分は、書かないこと」と指摘し、長文が詰め込まれた段落は読み飛ばしたくなっても、「会話を読み飛ばすことはないはずだ」と説明している。
さらに10個あげた留意点の中でも最も重要な点として、レナード氏は「もしも書き言葉に聞こえるような文章ならば、私は書き直す」と断言している。(c)AFP/Joseph KRAUSS
レナード氏は1925年10月11日、ルイジアナ(Louisiana)州ニューオーリンズ(New Orleans)生まれ。父親はゼネラル・モーターズ(General Motors、GM)の幹部で、一家は何度かの引っ越しを経て1934年にデトロイトに落ち着いた。
第2次世界大戦では米海軍の建設大隊に所属していたレナード氏は、戦後1949年に広告会社に就職し、余暇を利用して西部劇や短編小説を書き始めた。小説執筆に専念するため1961年に広告会社を退職したが、人気のあった西部劇がテレビドラマ界から消えると、最終的には犯罪小説を手がけるようになった。
生涯に45作品を発表した。50年以上にわたって幅広く読者を獲得し、亡くなる直前も46作目を執筆中だった。
レナード氏が原作者の映画は、ポール・ニューマン(Paul Newman)主演の西部劇『太陽の中の対決(Hombre)』(1967年)や、小説「ラム・パンチ(Rum Punch)」をクエンティン・タランティーノ(Quentin Tarantino)監督が映画化した『ジャッキー・ブラウン(Jackie Brown)』(1997年)、『アウト・オブ・サイト(Out of Sight)』(1998年)などがある。
レナード氏は2012年、全米図書協会(National Book Foundation)から米文学界への長年の功績をたたえる賞「Medal for Distinguished Contribution to American Letters」を授与されている。
■レナード小説の神髄は「会話」
レナード氏の小説の多くは、デトロイトやマイアミ(Miami)といった都会の汚れた裏社会を舞台に、警官やならず者、殺し屋たちが活躍する。善と悪に関する彼らの観念は多彩だ。
レナード氏は生前、自身の作品について、必ずしもストーリーが読者を引っ張るタイプの小説ではないと語っている。「私の小説が描いているのは人間たちだ。銃を手にし、ぎりぎりな状況に追い込まれた人間たちのね」
レナード氏の小説の読者たちは、登場人物たちが交わす、やいばのように研ぎ澄まされた鋭い会話に駆られて先を読み急ぐ。延々と続く情景描写や登場人物の独白などは、本筋には不要としてレナード作品では切り捨てられる。
米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)は2001年、文章を書く際に留意すべき10の要点を記したレナード氏の散文を掲載したが、同氏の訃報にファンたちが再びこの散文をツイッター(Twitter)上に投稿し広めている。
散文の中でレナード氏は「登場人物について詳しく説明しない」「場所や物事の詳細な描写にまで深入りしない」などの留意点を挙げている。
また「読者が読み飛ばすであろう部分は、書かないこと」と指摘し、長文が詰め込まれた段落は読み飛ばしたくなっても、「会話を読み飛ばすことはないはずだ」と説明している。
さらに10個あげた留意点の中でも最も重要な点として、レナード氏は「もしも書き言葉に聞こえるような文章ならば、私は書き直す」と断言している。(c)AFP/Joseph KRAUSS