【8月21日 AFP】第14回世界陸上モスクワ大会(14th IAAF World Championships in Athletics Moscow)の表彰式でキスを交わしたロシアの女子選手2人が20日、同性愛者であることを否定し、キスが同国の反同性愛法への抗議行為だったと取り沙汰されていることに対して困惑していると話した。

 17日に行われた女子4×400メートルリレーの決勝で、ロシアは優勝候補だった米国をしのいで金メダルを獲得。大会で最も印象に残る場面のひとつを演出した。

 しかし、その表彰式でロシアチームのメンバーのクセニヤ・リジョワ(Kseniya Ryzhova)とユリア・グシチナ(Yuliya Gushchina)が唇にキスを交わし、物議を醸す事態となった。

 一部の活動家やメディアは、同性愛者の2人がキスを通して、ロシアの反同性愛法に対する抗議の意思を表示したと憶測したが、リジョワとグシチナは恋愛関係にあることを否定し、この騒動がロシアチームの金メダル獲得に水を差したと遺憾の意を示している。

 現在26歳のリジョワは、グシチナとレズビアン関係にあると思われていることに気分を害しているという。

「昨日(19日)、20社ほどの出版社から電話を受けた。祝辞をもらう代わりに、侮辱的な質問を投げかけられたわ」とリジョワは露タス通信 (ITAR-TASS)とのインタビューで述べた。

 またリジョワは、「私もユリアもそれぞれ結婚しているし、そのような関係は持っていない」と主張し、2人は過去8年間、ともにトレーニングに励んできたいい友人同士だと付け加えた。

「(勝利の後)感情の嵐が起こって、キスをしたの。あの場で私たちの唇が触れたからって・・・誰がそんな妄想を作り上げるのかしら」

 一方のグシチナは、反同性愛法が問題になっていたことすら全く知らなかったと話す。

「全身全霊を大会に向けていたので、そんな話は聞かなかったし、読みもしなかった」

 問題になっている法律は、未成年への同性愛プロパガンダ(宣伝)行為が刑罰の対象になるというもので、6月にラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領によって成立された。同法は国際社会から非難を浴びており、2014年に開催されるソチ冬季五輪のボイコットを求める声も上がっている。

 また先週にはロシアの女子棒高跳び金メダリスト、エレーナ・イシンバエワ(Yelena Isinbayeva)が同法を擁護する発言をし、「男は女と、女は男と暮らすもの」と話したことから論争は激化した。(c)AFP/Stuart WILLIAMS