【8月20日 AFP】殺人や誘拐事件が前例のないペースで相次ぐパキスタン・カラチ(Karachi)で、所有する高級車に大金をつぎ込んで防弾仕様に改造する富裕層が増えている。

 アラビア海(Arabian Sea)に面した人口約1800万人のカラチは、多数の工場や輸出入企業、銀行が軒を連ねる経済中心地。その反面、暴力行為や犯罪、不平等のまん延も、同市に集中している。

 カラチでは2年連続で、殺人による死者数の最多記録が更新されている。パキスタン人権委員会(Human Rights Commission of Pakistan)によると、2012年1~6月には1215人が殺害され、過去最多を記録したが、今年の同時期ではそれをさらに上回る1726人が殺害された。また、市民警察協議会(Citizens-Police Liaison Committee)によると、2012年の誘拐被害者数は約130人に上り、これも過去最多だという。

 そんな中、経済的な余裕のある人々は、カラシニコフ自動小銃(AK-47)の銃弾から身を守る防弾窓ガラスや、爆弾攻撃にも耐えられる車台などを、自家用車に装着している。これまで何度も脅迫やゆすりを受けてきたという実業家のナディール・カーン(Nadeem Khan)氏は、最近になって所有する四輪駆動車2台を装甲車に改造した。今は、父と兄弟のためにさらに2台の改造完了を待っているという。

 富裕層が不安を募らせる一方で、車両の装甲装備を取り扱う企業は活況を呈している。そのうちの一社、「ストレイト(Streit)」のパキスタン支社トップ、ハリド・ユサフ(Khalid Yousaf)氏は、12月の支社設立以来、受注数が倍増していると話す。

 同氏はAFPに、「設立当初は装甲車両数を月3~4台と見込んでいたが、最初の数か月からすでに月7台、それが10台に伸び、現在では月15台前後のペースとなっている。今後さらに増えるかもしれない」と語った。

 しかしカラチでは、車に装甲装備を施したところで安全が保証されるとは限らないのが実情。先月には、アシフ・アリ・ザルダリ(Asif Ali Zardari)大統領の警備責任者が自家用の装甲車で移動中に自爆攻撃を受けた。自爆犯は運転手が開けたドアから車内に飛び込んで自爆し、警備責任者は即死した。(c)AFP/Guillaume LAVALLÉE