【8月19日 AFP】スイスのチューリヒ(Zurich)市当局は15日、売春専用のドライブイン「セックスボックス」を公開した。売春婦が客を取る新たな場として昨年、住民投票で設置が決まったもので、26日に記念式典を行い正式オープンする。市は、売春婦の実態管理に役立つと説明している。

 市西部の旧工業地域に設置された「セックスボックス」は、扉がなく板で仕切られただけの車庫のような形状の区画が9つ並んでいる。利用可能な時間帯は、毎日午後7時~翌朝5時。

 ドライブスルー形式のファストフード店舗と同様に、車に乗ったまま敷地に入り、標示に従って進む。車内にいるのが運転手1人だけでないと、敷地に入るゲートは開かない仕組みになっている。道路脇には最大40人の売春婦が待機しており、値段交渉で合意に至ればその売春婦を連れて9つある「ボックス」の1つに車ごと入り、性交渉ができる。

  「ボックス」内には、売春婦が身の危険を感じたら警察に緊急通報できるよう警報機が付いている。

■路上セックスに住民うんざり

 スイスでは売春は合法で、国の人口の4分の1に相当する180万人が住むチューリヒにも公認の赤線地区がある。だが市内の路上、特に川沿いのジールカイ(Sihlquai)で売春婦と客が「励む」姿にうんざりした地元住民らの不満が募り、市は売春婦たちの拠点を移転させることを決めた。

 市はまた、今回の措置は売春婦たちの身の安全を保障するためでもあると説明。犯罪組織による人身売買を防止し、違法な地下売春行為も削減できると述べている。

  「セックスボックス」設置に要した費用は210万スイスフラン(約2億2100万円)で、住民投票で認められた予算の範囲内に収まった。運営費は年間70万スイスフラン(約7400万円)程度と見込まれている。(c)AFP