【8月16日 AFP】窓を通って建物内に入る熱と光の量を電気的に調節できるフィルムを開発したとする研究論文が、15日の英科学誌ネイチャー(Nature)に掲載された。米国とスペインの共同研究チームが開発したのは、光の波長を変えることができるナノ結晶を用いた「透明なフィルム」だという。

 論文の共同執筆者米であるローレンス・バークリー国立研究所(Lawrence Berkeley National Laboratory)のデリア・ミリロン(Delia Milliron)氏はAFPに対し、「電荷の調節で色や透明度を変えることができるエレクトロクロミック方式のガラスはすでに開発されているが、熱と可視光を同時に調節できるものは初めてだ」と語った。

 論文によると、窓には電解質溶液で分けられた2枚のガラス板が取り付けられており、窓そのものが電気化学セルとしての機能を備えている。片方にフィルムを貼って電極を作り、そこから電荷がもう片方の対極へと移動する。このとき窓は透明のまま、ナノ結晶が熱を遮断する。電流の強さを変えることで光も遮断できるという。

 ミリロン氏は、このフィルム素材は建物向けに開発したものだが、車や飛行機の窓にも使用可能だと話している。(c)AFP