【8月15日 AFP】第14回世界陸上モスクワ大会(14th IAAF World Championships in Athletics Moscow)でエレーナ・イシンバエワ(Yelena Isinbayeva)が母国に金メダルをもたらし、歓喜に包まれたロシア国民は女王の輝かしいキャリアが今後も続いていくことを願った。

 ロシア出身のイシンバエワが、ルジニキ・スタジアム(Luzhniki Stadium)で13日に行われた女子棒高跳び決勝で金メダルに輝き、大会の盛り上がりは頂点に達した。それと同時に、国民的アスリートの現役続行を望む声が高まっている。

 ロシアのドミトリー・メドベージェフ(Dmitry Medvedev)首相は、フェイスブック(Facebook)に、「輝かしく、感動的な優勝を成し遂げ、勝つべくして勝ったエレーナ・イシンバエワの勝利を祝福する。スポーツにおいても、私生活においても、エレーナの新しい成功を願っている」と投稿した。

 イシンバエワは競技後、子どもを産むために18か月の休養に入り、2016年リオデジャネイロ夏季五輪での復帰を目指す意向を明らかにしている。

 ロシアのスポーツ紙ソビエトスキー・スポーツ(Sovietsky Sport)は、「続けるんだ、エレーナ!」という記事を掲載し、「イシンバエワはライバルに一度もチャンスを与えなかった。引退するのは惜しい」と報じた。

 また、スポーツ・エキスプレス(Sport Express)紙は「幸せを運ぶ鳥」と題し、「エレーナ・イシンバエワは昨夜、ルジニキ・スタジアムに集まった多くの観客をはじめ、全国の人々に幸せをもたらした」と伝えている。

 ロシア五輪委員会(Russian Olympic Committee、ROC)のアレクサンドル・ジューコフ(Alexander Zhukov)会長は、イシンバエワに高位の称号が授与されるよう、政府に働きかけると約束した。

 ジューコフ会長はロシア通信(RIA Novosti)に対し、「昨日のイシンバエワは輝きを放っていた。成功から遠ざかっていた時期を乗り越えたことを考えると、五輪の金メダルと同等か、それ以上の価値がある」とコメントした。

 アスリートとしての実力と、正直な感情表現で国民に愛されているイシンバエワは、ロシア西部のボルゴグラード(Volgograd)在住で、両親はダゲスタン(Dagestan)共和国のカフカス(Caucasus)地区出身である。

 タゲスタン共和国のラマザン・アブドゥラティポフ(Ramazan Abdulatipov)臨時大統領は、「君はダゲスタンとロシアの誇りだ」と称賛し、「ダゲスタンの国民を代表し、さらなる成功と幸せを願う」と声明を発表した。

 スタジアムを満席にしたことでもイシンバエワの功績は大きい。それまでの大会は盛り上がりに欠け、空席が目立つスタジアムの観客動員力には批判が集中していた。

 ロシアの元陸上選手、タチアナ・レベデワ(Tatyana Lebedeva)氏は、「陸上を観戦するためにルジニキ・スタジアムに5万人もの観客が集まるなんてこれまで考えられなかった」とコメントしている。

 イシンバエワのコーチを務めるエフゲニー・トロフィモフ(Evgeniy Trofimov)氏は、スポーツ・エキスプレスの取材に応じ、「大会開幕の2週間前」にはタイトルを狙える状態にあると手応えを感じていたことを明かした。

 トロフィモフ氏によると、イシンバエワは今回の優勝記録4メートル89を超えられる潜在能力を持っており、リオデジャネイロ五輪に出場すれば、5メートル15や5メートル20といった未知の領域に挑戦できるとの見解を示した。(c)AFP