【8月12日 AFP】オンライン決済サービス大手の米ペイパル(PayPal)はこのほど、「現金の必要ない未来」の実現に向けて社外の人々と積極的に協力したいと呼び掛けた。

「とにかく開発者たちと協力して、わが社が苦労して実現した世界中どこでも資金が移動できるシステムを有効利用してもらおうとしている」。ペイパルの世界製品部門を統括するヒル・ファーガソン(Hill Ferguson)氏は、米カリフォルニア(California)州サンフランシスコ(San Francisco)で開催された音楽とアートのフェスティバル「アウトサイド・ランズ(Outside Lands)」に合わせてAFPの取材に応じ、このように語った。

 15年前、世界通貨になるという構想を掲げて創設されたペイパルは、人々が何でも買える「インターネット時代の電子財布」を目指し、米国内外の小売店とも協力を進めている。

 ファーガソン氏は、この流れは世界各地で急速に勢いを増していると語る。「何かを買いたいと思ったら、自分のIDを提示すればよい。売り手にとっては、どんな人たちが顧客かを簡単に知ることができ、1人1人の購買履歴に焦点を当てることができる」

「マネーの未来は完全なデジタル化だと、わが社は信じている。そこでは、(買い物をするという)体験が前面に出て、支払いは後回しでよくなる。現在は、その真逆だ」

■音楽フェスでプロモーションイベント

 ペイパルは「アウトサイド・ランズ」で、「現金が要らない未来」を体験できるプロモーションを行った。サンフランシスコのゴールデン・ゲート・パークに設けられた会場内を、警察よろしくペイパルのスタッフが巡回し、財布を持ち歩いている人を探すパフォーマンスも実施した。

「音楽フェス会場こそ、現金を持ち歩いたり財布の心配をしないで済む場所であるべきだ」とファーガソン氏。「それこそが商業の未来だ。わが社は世界に示し、分かち合いたい」と語った。(c)AFP/Glenn CHAPMAN