【8月12日 AFP】ノルウェーのイエンス・ストルテンベルグ(Jens Stoltenberg)首相は11日、有権者の本当の関心を知るため、ある日の午後にタクシードライバーに変装したことを明かした。

 交流サイト(SNS)のフェイスブック(Facebook)、マイクロブログのツイッター(Twitter)、動画共有サイトのユーチューブ(YouTube)に投稿した動画の中で、首相は「国民の真意を聞くことは重要。国民が考えていることを話す場所があるとすれば、それはタクシーの中だ」と語った。

 ノルウェーでは9月9日の総選挙に向けた選挙戦が最高潮を迎えており、最新の世論調査では、同首相が率いる与党の中道左派連合が敗北する可能性が高いとの結果が出ている。

 そんな中公開された動画では、同首相が6月のある日、オスロ・タクシー(Oslo Taxi)の制服を着用、バッジもつけて、首都オスロ(Oslo)で黒塗りのベンツに乗り、次々と客を拾う様子を捉えた車内の隠しカメラによる映像が収められている。

 乗客の中には「この角度からだとこの人、本当に首相そっくりだ」とコメントする人も。ある老婦人は首相の変装を見破り、「(企業の)お偉方たちは何百万という給料を取るべきではない」と、首相に対策を迫った。また、首相に8年間運転したことがないことを白状させた客もいた。

 日刊タブロイド紙ベルデンスガング(Verdens Gang)から、選挙に負けたらタクシードライバーになるかと尋ねられた首相は「タクシードライバーより首相でいる方が、国とタクシー乗客により良い奉仕ができると思う」と語った。同紙によると、首相が乗せた乗客は運賃を取られなかったという。(c)AFP