【8月11日 AFP】第14回世界陸上モスクワ大会(14th IAAF World Championships in Athletics Moscow)は10日、女子マラソンが行われ、ケニアのエドナ・キプラガト(Edna Kiplagat)が大会第1号の金メダルに輝いた。

 2012年のロンドン五輪で20位に終わったキプラガトは2時間25分44秒を記録し、女子マラソンでは史上初の連覇を達成した。

 先頭集団でレースを引っ張ったイタリアのバレリア・ストラーネオ(Valeria Straneo)が2時間25分58秒で銀メダル、福士加代子(Kayoko Fukushi)は2時間27分45秒で銅メダルを獲得した。

 歴史を作ることができてとても幸せだと話すキプラガトは、「連覇できてうれしい。40キロメートル前後で勝利を確信し、ペースを上げたの」と語った。

 一方、2010年に脾臓(ひぞう)と胆のうの摘出手術を受けているストラーネオは、自分がメダルを獲得できると思わなかったことを明かしている。

 現在37歳のストラーネオは、「自分に驚いています。まさか銀メダルを取れるとは思いもしなかった。先ほど6歳と7歳の子供と電話で話しましたけれど、子どもたちがテレビで私を見ていたかどうかはわかりません」と話している。

 そして福士もまた、3位でゴールしたことに驚きを隠しきれず、「スタジアムに入るまで自分が3位だったなんて分からなかった。おかげでこれまでの経験がより楽しいものになった」とコメントしていた。

 ロンドン五輪の女子マラソン金メダリストで、エチオピアのティキ・ゲラナ(Tiki Gelana)は、車いすの選手に衝突された第33回ロンドン・マラソン(33rd London Marathon)以来の大会出場となったが、途中棄権に終わった23人の一人になった。

■終盤にキプラガトがスパート、先頭集団をけん引したストラーネオはついて行けず

 レースは序盤から先頭集団を走るストラーネオに、アベル・ケベデ(Aberu Kebede)やメセレク・メルカム(Meselech Melkamu)といったエチオピア勢を含む11選手がついて行く展開となった。

 ストラーネオがけん引する先頭集団は10キロメートル過ぎに7人まで減り、2004年アテネ五輪で金メダルに輝いた35歳の野口みずき(Mizuki Noguchi)が集団から遅れ始めた。

 キプラガトは先頭から29秒差の15位まで後退しながらも、その後はギアを入れ直して徐々にその差を詰め寄ると、クレムリン(Kremlin)を過ぎたところで7人の先頭集団を捉えた。

 ロンドン五輪では8位のストラーネオは、15キロメートル地点でも先頭集団を引っ張り続け、その後方にはエチオピアのメルカムやケニア勢3人、福士らが続いていた。

 レースは30キロメートル付近でメダル獲得候補が絞られ、ストラーネオとキプラガト、メルカムが先頭集団を形成し、福士が集団から遅れ始めた。

 しかし、今年のロンドン・マラソンで4位に入っているメルカムも直後に限界を迎え、レースはストラーネオとキプラガトの一騎打ちという状況になった。

 メルカムには銅メダルを争うだけの力は残っておらず、1分以上の差をつけられながらも先頭を追い駆ける福士に35キロメートル過ぎで抜かれると、直後にはレースを途中棄権している。

 ストラーネオにレースの主導権を委ねていたキプラガトは、40キロメートルを過ぎたところでついにラストスパートを仕掛けた。そしてストラーネオはその動きに反応できず、そのまま銀メダルを獲得した。(c)AFP