【8月8日 AFP】カナダ東部ニューブランズウィック(New Brunswick)州のキャンベルトン(Campbellton)で、寝ていた男児2人がニシキヘビに襲われ窒息死したとみられる事故で、このニシキヘビの所有者が必要な飼育許可を取得していなかったことが明らかになった。

 コナー・バルト(Connor Barthe)君(6)とノア(Noah Barthe)君(4)の兄弟は5日朝、ペットショップの上階にあるアパートの1室で死亡しているのが見つかった。検視の結果、窒息死だったことが確認されている。警察は、2人が体長4メートル、重さ45キロのアフリカニシキヘビに絞め殺されたとみて、アパートの部屋を現場と特定し捜査を進めている。

■州では飼育禁止

 兄弟は、このアフリカニシキヘビをはじめ珍しい動物を集めて世話をしているジャンクロード・サボア(Jean-Claude Savoie)氏の息子の友人で、泊まりがけで遊びに来ていた。現場のアパートはサボア氏が所有しており、警察はアパート内のおりから抜け出したアフリカニシキヘビが換気ダクトを伝って子どもたちの寝室に侵入したのではないかとみている。

 ニューブランズウィック州天然資源省のアン・ブル(Anne Bull)報道官は、「警察の捜査で珍しい動物が多数見つかったと報告を受けた。州内ではアフリカニシキヘビの飼育は認められておらず、また州の記録を見る限り、当局はこのヘビの飼育について一切関知していない」と述べた。

■「本能」が呼び覚まされた?

 今回の一件については、多くの専門家が一様に驚きを表明している。アフリカニシキヘビは大きな獲物を殺すこともできる危険な生物だが、通常は人間を攻撃することはないという。

 一方、アトランティック・ベタリナリー大学(Atlantic Veterinary College)のマリオン・デスマルシェリエール(Marion Desmarcheliere)教授(動物医学)は、子どもたちが4日にサボア氏の「ミニ動物園」で動物たちと接していたことがこの悲劇の原因だったかもしれないと指摘する。

 ニシキヘビは嗅覚が非常に鋭く、たとえば子どもたちに前日に触れ合ったヤギのにおいが残っていたとすれば、それがヘビの「狩りの本能」を目覚めさせた可能性があるという。さらに、ニシキヘビは夜目が利かないため、においと子どもたちの体温に導かれて部屋に侵入したと考えられるという。

 警察によると、このヘビはロックパイソンとも呼ばれ、アフリカに生息するヘビの中では最大の種。毒は持っていないものの非常に力が強く、レイヨウなどの大きな動物でも殺せる。野生の環境で人間を襲うのは不明という。(c)AFP/Marc BRAIBANT