【8月6日 AFP】韓国のスター、チョン・ジヒョン(Gianna Jun)はパリで開催された「クリスチャン ディオール(Christian Dior)」のファッションショーに到着するや否や、フォトグラファーとボディガードに囲まれた。チョンはすぐに、すでに着席していたオスカー賞受賞者、ジェニファー・ローレンス(Jennifer Lawrence)の前に着席した。

■アジアのスターが及ぼす影響とは

 数々の映画を興行的に成功へ導いてきたアジアで最も有名な一人でもあるチョンは、いまやファッション業界からも注目を浴びており、影響力のある人物とされている。

 デザイナーたちは長い間、自身のコレクションを売るためにハリウッドスターを起用していた。しかし、中国や韓国の顧客らの消費力が高まる昨今においては、アジアの映画スターに注目が集まっている。

 台湾人モデルで女優のリン・チーリン(Lin Chi Ling)もカール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)が手がける「シャネル(CHANEL)」のオートクチュールコレクションに招かれた。

 クチュールを制作するブランドが中国やシンガポールからの新規顧客を増やし続ける中で、デザイナーのカールは荒廃した過去の世界と、想像上のアジアの未来都市のコントラストをショーで表現し、東アジアの重要性を強調した。

 ラフ・シモンズ(Raf Simons)による「クリスチャン ディオール(Christian Dior)」の多文化的なショーも、明らかに新しい市場を意識したものだった。ランウェイに世界のあらゆる国のモデルを起用したシモンズは、ディオールが「フランス・パリだけでなく、世界中の国ともかかわりがある」ことをショーで表現していると語った。

■憧れる存在、ファン・ビンビン

 中国富裕層に向けた情報サイト「Bomoda」のCEO、Brian Buchwald氏は、中国の顧客の要望に応えることは今や、「西洋諸国の企業にとって最優先事項だ」という。「中国人顧客の影響力は増大しており、それが西洋の企業のビジネスを動かしている」とAFPの取材に答え、去年は「ヨーロッパのラグジュアリー商品の売上のうち60%を中国人が担っていた」と述べた。

 このような明確な経済状況は、パリのファッションショーでフロントロウに座るアジア出身のセレブを今後ますます増やすことになるだろう。

 もっとも著名なアジア出身のスターの一人、ファン・ビンビン(Fan Bingbing)は、カンヌ国際映画祭(Cannes Film Festival)と同様、パリのファッションショーにも出席しており、「ヴァレンティノ(VALENTINO)」、「エリー・サーブ(Elie Saab)」 、「ローレンス・ズーLaurence Xu」などのドレスを着用している姿を撮影された。

 マーケティングの世界において、影響力のあるBuchwald氏は、スター達がデザイナーやラグジュアリー業界を惹きつける理由を次のように述べた。「ファン・ビンビンの美しさ、ファッションセンス、そして中国の顧客を動かす力は魅力的です」「彼女はリスクを顧みず、個性的です。そして自分自身で何を身につけるかを決めているのです。多くの中国人女性は彼女が着ているものを着こなす自信がないかもしれませんが、彼女が自分の選んだ服を着て世界で活躍するというその事実だけで人々は彼女に憧れを抱くのです」

 Buchwald氏によれば、中国人消費者はラグジュアリー市場において比較的新しい存在であり、そのことが結果としてセレブの影響力に強く依存する事態を生み出しているという。「もしファン・ビンビンが中国のファッションアイコンになるならば、中国人女性は彼女が着ているものを買い、西洋のセレブや富裕層がそうするより上手に着こなすでしょう」(c)AFP/Helen ROWE