【8月6日 AFP】火星探査車キュリオシティー(Curiosity)の火星着陸から1年を迎える中、米航空宇宙局(NASA)の研究者らは、キュリオシティーの成功で有人火星探査への道が切り開かれたと語った。

 キュリオシティーは2012年8月6日に火星地表に着地して以降、地球に向けて情報の宝庫を届けてきた。これらの情報はいずれ行われる有人火星ミッションで必要不可欠になるだろう。

 キュリオシティーが地球に届けたデータ量は、高精細画像3万6700枚、サムネイル画像3万5000枚など190ギガビットに上る。

 キュリオシティーが火星地表の土壌の構成を調べるために実施したレーザー照射は7万5000回以上。2つの岩石の試料を採取して分析も行った。移動距離は1マイル(1.6キロ)以上に達し、現在はシャープ山(Mount Sharp)に向かっている。

 NASA火星探査計画の主任科学者、マイケル・メイヤー(Michael Meyer)氏によると、キュリオシティーに搭載された機材とカメラは、「火星に微生物が生存することが可能か」という問いにすぐに回答を提示したという。

 キュリオシティーは着陸後すぐ、太古の河床だった場所で、水流により形成された小石や砂利の塊を発見した。さらに岩石の分析により、かつてその場所を流れていた水は生命が生きられないほどに塩分濃度が高かったり、酸性度が高かったりすることはなかったことが分かった。

 NASAは現在、シャープ山に向けてキュリオシティーを移動させている。研究チームは、シャープ山の堆積層を分析すれば火星に生命が生存できた時期を特定できる可能性があると期待を寄せている。

「だが、過去に生命が存在したかどうか、あるいは現在も存在しているかどうかを確認するには、新たなミッションが必要になるだろう」とメイヤー氏は述べた。

 NASAは、2020年に火星に第2の探査車「キュリオシティー2(Curiosity 2)」を送る計画だ。また、欧州とロシアも、探査ロボット「ExoMars」で火星の生命の痕跡を調査する計画を立てており、2018年に打ち上げが予定されている。(c)AFP/Jean-Louis SANTINI