【8月5日 AFP】インド・ムンバイ(Mumbai)の売春街、カマティプラ(Kamathipura)に生まれ、貧困と性的虐待に向き合いながら育った女性が逆境を乗り越え、米ニューヨーク(New York)で学ぶための奨学金を勝ち取った。

 シュウェタ・カッティ(Shweta Katti)さん(18)は1日、米国に向けて祖国を離れた。リベラルアーツ・カレッジ(一般教養全般に重点を置いた大学)のバード大学(Bard College)で心理学を学び、卒業後はインドに戻って地元の若い女性たちを支援したいと考えている。

 カッティさんは先ごろ、米誌ニューズウィーク(Newsweek)が25歳以下の女性を対象にした「Young Women To Watch(注目すべき若き女性たち)」に選ばれた25人のうちの1人。25人の中には、タリバン(Taliban)に頭を撃たれたパキスタンの少女、活動家のマララ・ユスフザイ(Malala Yousafzai)さんも含まれている。

 ■厳しい環境で得た支援

 カッティさんは生まれ育った地区について、「毎日、誰かに叩かれている女性を見ます。女性たちは体を売り、幸せな人などいません」と話す。また、自分は「神経が太い」というものの、学校では貧しいことやカーストの階級が低いことで、あらゆる人たちから差別を受けたと語った。

 父親をはじめ多くの人たちから虐待されたが、母親はいつも一緒にいて、「あなたが一番。あなたなら何でもできる」と言ってくれたと振り返った。工場で働く母親は、「刺激を与えてくれる存在」だという。

 一方、カッティさんは地元の女性支援団体「クランティ(Kranti)」に所属している。クランティとはヒンディー語で「革命」を意味する。夢をかなえる助けになってくれたのはこの団体だ。

 クランティの目的は、ムンバイの売春街に暮らす少女たちが「社会変革の主体」になれるよう、力を与えることだ。少女たちのためにムンバイ北部にアパートを借り、支援している。カッティさんも2年前にそこで暮らし始め、英語を学び、セラピーを受けた。心理学に関心を持つようになったのは、セラピーがきっかけだった。

 カッティさんは、「私は心から、セラピーは人を変えられると思っている。私は物事をオープンに考えるようになり、自分の生い立ちや自分自身を大切に思えるようなった」と話している。(c)AFP