【8月2日 AFP】オーストラリア南部サウスオーストラリア(South Australia)州のエア半島(Eyre Peninsula)の砂浜で、希少種のセミクジラの死骸が打ち上げられているのが見つかった。科学者らは、セミクジラについての知識を深める助けになると期待している。

 体長約12メートルで体重が最大50トンと推定されているこのクジラの死骸には、サメによるものとみられる大きなかみ傷が多数あったという。エア半島周辺は、ホホジロザメの生息地として知られている。

 サウスオーストラリア博物館(South Australian Museum)の学芸員で、哺乳動物主任研究員のキャサリン・ケンパー(Catherine Kemper)氏が1日、AFPに語ったところによると、同博物館は2日に調査チームを現地に派遣し、砂浜で死骸の解剖を行う予定だ。この作業には1週間かかる見込みで、死骸はその後、博物館に送り、さらに詳細で有益な科学的調査を行う。

 ケンパー氏は「この博物館に勤務して30年になるが、大人のサイズのセミクジラを収容したのは、これまでに2回しかない」と言う。最後は2001年だった。

 セミクジラの個体数は、19世紀にオーストラリア沖で捕鯨が行われていた間に激減したが、現在は徐々に回復してきており、南半球全体で約1万頭が生息しているとみられている。

 セミクジラが浜に打ち上げられることは非常にまれで、「生体構造、病気、生殖周期などに関するわれわれ(科学者)の知識は非常に限られている」とケンパー氏は述べている。

 セミクジラは、成長すると最大で体長18メートル、体重80トンにもなる。頭部が非常に大きく、最大で全体長の4分の1にも及ぶ。泳ぐ速度は遅く、性格はおとなしい。オーストラリアでは、絶滅危惧種に指定されている。(c)AFP