【8月1日 AFP】1億5000万年ほど前に生息していた鳥類の祖型とされる「始祖鳥(Archaeopteryx)」の脳を他の恐竜と比較したところ、始祖鳥は「それほど特別な存在ではなかった」可能性があることが分かったとする研究結果が、31日の英科学誌ネイチャー(Nature)に発表された。

 アメリカ自然史博物館(American Museum of Natural History)のエイミー・バラノフ(Amy Balanoff)氏の研究チームが初期の鳥類や恐竜の頭蓋骨を3次元スキャンして比較したところ、始祖鳥と同時期に生息した恐竜のうち少なくとも数種は、飛行するための神経回路を持っていたことが分かったという。

 バラノフ氏は、「始祖鳥は羽毛恐竜から現生鳥類に進化する過程にある独特な種と位置づけられてきた。だが、近縁種の恐竜と頭蓋の大きさを比較した結果、始祖鳥はそれほど特別ではなかった可能性が出てきた」と話す。

 バラノフ氏の研究チームは、CTスキャンを用い、現存する種と絶滅した種の脳の大きさと位置についての高解像度画像を得た。爬虫類と比較すると鳥類は、体に対して脳が大きく、それによって飛行に必要な優れた視覚と体の連動機能を獲得しているとされる。

 だが、画像を比較した結果、羽毛のあるオビラプトルや鳥に似たトロオドンといった飛ばない恐竜数種の方が、始祖鳥より体に対する脳のサイズが大きいことが分かった。

 バラノフ氏は、「もし始祖鳥が飛行できる脳を持っていたとすれば、少なくとも飛ばない恐竜のうち数種も持っていただろう」と指摘している。始祖鳥がそのような脳を持っていたことは、形態学的にはほぼ確実だという。(c)AFP