【7月30日 AFP】第2次世界大戦中、ドイツ人実業家のオスカー・シンドラー(Oskar Schindler)によってナチスのユダヤ人大量虐殺(ホロコースト)から救われたユダヤ人の氏名を記した「シンドラーのリスト」の原本の一つが、大手競売サイトのイーベイ(eBay)に出品されたが、28日の締め切りまでに入札者が現れず、落札されなかった。

 ユダヤ人男性801人の名前がタイプライターで打たれた14ページのリストは、シンドラーの側近だったイザック・シュターン(Itzhak Stern)という男性が保有していたもの。入札開始値は300万ドル(約2億9400万円)に設定されたが、米ロサンゼルス(Los Angeles)時間28日午後6時(日本時間29日午前10時)の締め切り時間までに入札はなかった。

 ただし、競売に全く関心が集まらなかったわけではない。AFPのメール取材に応じた競売人のエリック・ガジン(Eric Gazin)氏によれば、50万人以上がイーベイへの出品を閲覧し、入札状況を見守る「ウオッチリスト」には1万3000人以上が登録した。現在も入手に関心を持つ複数の筋と話し合いを続けているというが、再度の出品や値下げの予定はないとしている。

 計7部が作成されたという「シンドラーのリスト」のうち、現存するのは4部のみ。うち民間が保有していたのは今回競売に掛けられた1部だけで、他の3部はイスラエルと米国の博物館が保管している。

 第2次世界大戦中、経営する工場で雇用していたユダヤ人約1200人の命を救ったシンドラーは、1974年にドイツでひっそりと亡くなっている。享年66歳だった。(c)AFP