【7月30日 AFP】サッカーにおける差別の撲滅を目指す団体、キック・イット・アウト(Kick It Out)が29日、差別行為を目撃した場合、直接同団体に通報できるスマートフォン(多機能携帯電話)用アプリを発表した。

 このアプリは、選手及びサポーターらが人種、又は性的指向に基づいた差別行為を目撃した場合、直接キック・イット・アウトに通報できる機能を携えている。

 キック・イット・アウトは通報を受けると、各サッカー協会や、必要とあれば警察と協力して調査を行う。

「昨シーズンに指摘された大きな問題のひとつは、選手が差別行為に対して苦情を申し立てることがあっても、何も起こらないケースがあったことでした」と同団体のヘルマン・ウーズレイ(Herman Ouseley)会長は話す。

「われわれが介入しなかったケースでは、差別行為の被害者が通報した場合でも、対処されなかったものもありました」

「今後もし差別に関する問題があった場合、選手はこのアプリを使ってキック・イット・アウトに連絡を取ることができます。匿名での通報も可能です。そして通報の内容について、キック・イット・アウトが直接調査を行います」

「またサポーターたちも、何らかの理由でスタジアムの係員に報告することがためらわれる場合、アプリを使ってわれわれに報告することができます」

 ここ2年間、英国ではサッカーにおける人種差別の問題が多発している。イングランド・プレミアリーグ、チェルシー(Chelsea)のジョン・テリー(John Terry)や、リバプール(Liverpool FC)のルイス・スアレス(Luis Suarez)の件では、キック・イット・アウトの対応を非難する選手もいた。

 ウーズレイ氏は、新シーズンに向けてキック・イット・アウトがアクションを行っていくことにより、各クラブが差別問題ともっと真摯に向かい合う姿勢を示してくれることを願っていると話した。(c)AFP