【7月29日 AFP】イスラエルとパレスチナは29日、ジョン・ケリー(John Kerry)米国務長官の仲介で、米首都ワシントンD.C.(Washington, DC)で約3年ぶりに和平交渉を再開させる。しかし、20年以上に及ぶ中東和平交渉は、依然として中核的な問題で両者の主張に隔たりがある。

■将来の「パレスチナ国家」と、その主権

 パレスチナ側はヨルダン川西岸(West Bank)とガザ地区(Gaza Strip)を領土とし、東エルサレム(east Jerusalem)と首都とする、完全に独立した主権国家の樹立を求めている。

 これに対し、ヨルダン川西岸のヨルダン渓谷(Jordan Valley)に長期にわたって軍を配備しているイスラエル側は、「パレスチナ国家」の非武装化を要求しており、また領空権と国境管轄権を自国の手中にとどめたい立場だ。

■「67年ライン」問題と、ユダヤ人入植地

 パレスチナ側はイスラエルに対し、1967年の第3次中東戦争(6日間戦争)以来イスラエルが占領している全ての土地からの撤退と、全入植地の解体を基本的に要求している。さらに和平交渉中には、ユダヤ人入植地の建設を全面凍結するよう求めている。

 イスラエルは「パレスチナ国家」との国境線を「67年ライン」に完全に戻す案を排除している。一方で、東エルサレムなどユダヤ人36万人が住む最大の入植地をイスラエルに併合することを条件に、一部入植地から撤退する用意があるとしている。

■東エルサレム問題

 イスラエルは、アラブ系住民が多くヨルダン領だった東エルサレムを1967年に占領・併合したが、国際社会はこれを認めていない。イスラエルは、エルサレムを「永久不可分の首都」と位置付けている。

 一方、パレスチナ側は東エルサレムを未来の「パレスチナ国家」の首都としたい考えだ。東エルサレムにはパレスチナ人28万人、イスラエル人20万人が暮らしている。

■パレスチナ難民の帰還問題

 現在登録されているパレスチナ難民は約500万人。大半はイスラエルが建国された1948年にそれまで住んでいた土地から追放されたり、脱出したパレスチナ人76万人の子孫だ。

 パレスチナは、イスラエルにこれら難民の「帰還権」を要求しているが、和平交渉の中ではイスラエル側に帰還権の「原則」を認めて責任を取るよう求めつつも、権利の行使に関しては両者間で合意決定するとの立場を取ってきた。

 しかしイスラエルは、パレスチナ側の「帰還権」の要求をはねつけている。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相は、イスラエルを「ユダヤ人国家」として承認するようパレスチナに要求しており、パレスチナ難民問題については未来の「パレスチナ国家」の領土内で解決させたい姿勢だ。

■水資源

 ヨルダン川西岸の地下水利権の大半を握っているのはイスラエルで、パレスチナ側はもっと公平な配分を求めている。(c)AFP