【7月27日 AFP】英国のロイヤルベビー、ジョージ王子(Prince George)が担う期待の大きさははかりしれないが、父親のウィリアム王子(Prince William)は、新王子が責務と私生活の間を上手に歩む手引きをする準備ができているようだ。

 1982年6月21日、チャールズ皇太子(Prince Charles)と故ダイアナ元妃(Princess Diana)の長男として生まれたウィリアム王子は、幼いころから王位継承順位2位としての自身の役割を理解していた。ジョージ王子もすぐにそうなるだろう。

 一方で、自身の背負う責務やわずか15歳で母親を自動車事故で失ったトラウマにもかかわらず、ウィリアム王子は公務と自ら選んだキャリアや私生活とのバランスを何とかとってきた。

 ウィリアム王子と妻のキャサリン妃は子育てに深く関わり、子どものプライバシーを必死で守ることだろう。そして、ウィリアム王子は自分が享受してきたのと同じ「見た目には普通」の生活を子どもにも与えようと必死で闘うだろう。

 ウィリアム王子は、ウェールズで英空軍(Royal Air ForceRAF)の捜索救難ヘリのパイロットを務めているが、この仕事は王子に刺激を与えているだけではなく、数年間の夫婦水入らずの新婚生活を楽しむ機会ももたらした。

 王子の側近らは、王子が常に物事を自分なりのやり方で行うために戦ってきたと話す。

 ウィリアム王子はかつて、「誰もがさまざまな理由をつけて近づいてくるので、少し頑固にならなければならない」と語ったことがある。

 故ダイアナ元妃は、ウィリアム王子と弟のヘンリー王子(Prince Harry)に、父チャールズ皇太子のような、むしろ突き放された育てられ方を経験させたくないと考えた。2人の王子は乳母たちによって育てられたが、元妃は息子たちに惜しみない愛情を注ぎ、一般の人たちの生活が分かるように、公務や慈善行事に息子たちを連れて行った。ウィリアム王子はダイアナ元妃譲りの人付き合いの上手さを備えており、演説もうまい。

■生まれつきの自己防衛の感覚

 両親の離婚や母親の突然の死を考えると、ウィリアム王子の適応能力は小さな奇跡ともいえる。

 両親の離婚騒動に巻き込まれたものの、母親との温かい思い出を胸に、父親とも良好な関係を保っている。ある側近は王子が「生まれながらの自己防衛の感覚」を備えていると話す。

 母親がメディアから嫌がらせを受けていたと信じるウィリアム王子は、幼いころからメディアが嫌いだった。全寮制のイートン校(Eton College)に入ったことや、英セントアンドルーズ大学(University of St Andrews)での取材を禁じるメディアとの取り決めは、王子にまたとない自由をもたらした。

 父親となり新たな責任が生じるとともに、87歳のエリザベス女王(Queen Elizabeth II)が公務を減らし、ウィリアム王子は新たに一段、階段を上らなければならないかもしれない。今後ウィリアム王子が公務と私生活のバランスをどれ程長く保てるかはまだ分からない。(c)AFP