【7月23日 AFP】スリランカの最大都市コロンボ(Colombo)で計画されている複数の大規模カジノ建設計画をめぐり、アジアの新たな「ギャンブルの町」誕生へ向けた同国の野心的な期待が高まる一方で、野党および宗教関係者からは反対の声が上がっている。

 スリランカでは2010年11月にギャンブルが合法化された。数十年にわたって続いた内戦で同国の経済は打撃を受けたが、カジノに旅行者を呼び込むことで再び活性化したい考えだ。

 政府は今月、同国の複合企業ジョン・キール・ホールディングス(John Keells Holdings)による8億5000万ドル(約850億円)の娯楽施設開発計画を承認している。この計画にはカジノ建設も事実上含まれている。また6月には、コロンボ中心部の湖畔に3億5000万ドル(約350億円)のリゾート施設建設計画が承認されたばかり。コロンボでの計画は、クラウン・インターナショナル・ホールディングス(Crown International Holdings Group)を率いるオーストラリアの富豪ジェームズ・パッカー(James Packer)氏と地元企業による共同事業だ。いずれの建設計画にも10年のタックス・ホリデー(法人税非課税措置)が適用される。

 ホテル経営も行うジョン・キール・ホールディングスは開発の詳細についてまだ明らかにしていない。ただ関係者らによると、まだ選定はされていないが外国企業とのカジノ建設が含まれるという。

 クラウンとジョン・キール・ホールディングスは内戦後のスリランカの経済成長と観光客の増加を見込んでおり、また政府当局者も年内に始動する見込みの2つの建設計画で多数の雇用が創出され、富裕層のカジノへの呼び込みも期待できるとみている。

 一方、野党・統一国民党(United National PartyUNP)は一連の建設計画に反対している。開発業者に対する大々的な優遇税制措置は受け入れられないとして、アルコールやたばこ産業に課される重税と同水準の「罪悪税(sin tax)」を開発業者に課すべきと強く主張している。

 これに対し、ラクシュマン・ヤパ(Lakshman Yapa)投資促進相は「われわれが大胆な税金の優遇措置を提供しなければ、投資家が逃げて行ってしまう」として非課税措置の必要性を説明した。

 仏教徒が多数を占める保守的なスリランカでは、小規模で控えめなカジノは2010年以前から法の目をかいくぐって許容されてきた。しかしこれら新たな計画は大規模であることから、政府はカジノがコロンボの指定地区内で外国人にのみ開放されるとすることで、強い影響力を持つ僧侶からの反発を和らげようとしている。

 僧侶でもあるAthuraliye Rathana議員はAFPに対し、「われわれはギャンブルに反対だが、完全に排除するのは現実的でない。政府は(2010年の)ギャンブルに関する法律を執行し、カジノを野放しにするのではなく、指定地区に限定しなければならない」と述べた。(c)AFP