【7月20日 AFP】ロシア中部キーロフ(Kirov)の裁判所は19日、横領罪で18日に禁錮5年の実刑判決を下した反体制運動の指導者アレクセイ・ナワリヌイ(Alexei Navalny)被告(37)について、上訴ができる間は収監しない決定を下した。 この予想外の決定を受け、ナワリヌイ被告は直ちに釈放された。

 判事は、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領の最大の政敵の1人であるナワリヌイ被告を収監することは、9月8日のモスクワ(Moscow)市長選への立候補の権利を同被告から奪うことになるとの判断を下した。

 ナワリヌイ被告に対する実刑判決は多方面からの非難を呼んでおり、バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領が予定されている9月のモスクワ訪問を「再考している」とも報じられていた。

 ガラスで仕切られた被告席から即時釈放されたナワリヌイ被告は、「今起きていることは、ロシア司法制度の全くユニークな現象だ」と述べた。 法律の専門家らによると、同被告釈放の決定は前例のないもので、政治的動機に基づいていることは明らかだという。

 一方のドミトリー・ペスコフ(Dmitry Peskov)大統領報道官は19日、この件に関して不正が行われた事実はないと強調。実刑判決と釈放の決定はともに「法律にのっとって下された」のであり、「順守されなければならない」と述べた。

 有罪判決が確定すれば、ナワリヌイ被告は政治活動の資格を奪われる。しかし、上訴審で1審判決が支持されるまでは、資格剥奪の処分は発効しないため、同被告には強力な政治ポストであるモスクワ市長の選挙にうって出る時間が与えられることになる。 (c)AFP/Anna MALPAS