【7月21日 AFP】遊動生活を送っていた狩猟採集民の間では戦闘行為は珍しく、殺人は女性をめぐる争いや個人間のいざこざに起因するものが多かったとする研究結果を18日、フィンランドの研究チームが米科学誌サイエンス(Science)に発表した。

 戦闘行為はこれまで論じられてきたように放浪する狩猟採集民の集団に由来するものではなく、むしろ土地や家畜を持ち、食糧のために耕作する方法を知っていた文化に由来するものだと今回の研究は示唆している。

 歴史の舞台に植民地や宗主国、宣教師や商人などが登場する前の暮らしぶりについてヒントを得るために、人類学者らは世界の186の文化に関する情報を含む有名なデータベースにある記録の一部を検証した。

 フィンランドのオーボ・アカデミー大学(Abo Akademi University)のダグラス・フライ(Douglas Fry)氏とパトリック・ソーダバーグ(Patrik Soderberg)氏は、ウマや永住地を持たずに移動しながら生活していた狩猟採集社会について現存する記録のうち最も古いものだけを採用し、21例を分析した。これにはカナダの先住民モンタニエ(Montagnais)や、インドのアンダマン諸島民(Andamanese)、ブラジルの先住民ボトクード(Botocudos)、さらにアフリカ南部の辺境に住む狩猟採集民クン(!Kung)などが含まれている。

 これらの古い記録には、殺人が絡む148件の出来事のデータがあり、このうち状況が「はっきりしている」138件の殺人の55%は、殺した側も殺された側も1人だった。また85%の殺人で、殺人者と被害者は同じ集団の出身だった。さらに殺人者の大半は男性で、女性が攻撃する側だったのはわずか4%だった。

 殺害の理由はさまざまで、11.5%が「復讐」、9.5%が「1人の女性をめぐる争い」、6.1%が「夫が妻を殺害」した場合だった。22%は個人間のささいないざこざに関連したもので、比較的まれなものとして「果実のなる木のような資源をめぐる争い」(1.4%)などがあった。

 フライ氏はサイエンス誌上で「遊動式狩猟採集民の『既定路線』は、非交戦状態だと思う」と語った。

 ただし他の研究では、狩猟採集民の好戦的な行動について、より重要な証拠も発見されている。(c)AFP/Kerry SHERIDAN