【7月19日 AFP】米ニューヨークでは、このところの熱波から逃れるためにハドソン川(Hudson River)へ飛び込みたがる地元っ子や観光客に「今まで以上に危険な行為だ」という警告が発せられている。

 米コロンビア大学(Columbia University)の研究チームは18日、ニューヨーク市西部を流れるハドソン川に抗生物質が効かない抗生物質耐性菌がまん延していると報告した。推定される原因は未処理の下水の流入だという。

 チームはハドソン川の10か所で水質検査を行い、最も一般的な抗生物質アンピシリンに耐性のある細菌が84%の確率で含まれていることを発見した。またこれらの細菌と、下水処理放流水の細菌指標の高さとの相関関係も見出した。

 環境運動家らは、豪雨の際に処理しなければならない下水の量に下水処理計画が対処できていないため、ハドソン川には日常的に下水が流れ込んでいると指摘している。ニューヨーク市当局は、道路に透水性舗装を導入したり、流出する雨水を減らすためにビルなどの屋上に植栽を施すなどして、問題への対処を試みている。

 ニューヨークでは今週に入り連日気温が最高36度まで上がり、住民や観光客にとって身近にあるハドソン川の「誘惑」は増している。ハドソン川での水泳は、汚染の懸念にもかかわらず人気だ。7日間にわたって約190キロを泳ぎ継ぐ水泳マラソン「8ブリッジ(8 Bridges)」や、「グレート・ハドソンリバー・スイム」といった水泳大会も毎年開催されている。ただし現在の猛暑から考えれば皮肉なことに、マンハッタン南端部のロウアーマンハッタン(Lower Manhattan)地区で行われる「グレート・ハドソンリバー」の方は今年、開催シーズンの5月末が季節外れの寒さに見舞われ中止された。(c)AFP