【7月19日 AFP】ロシアの裁判所は18日、反体制運動の指導者アレクセイ・ナワリヌイ(Alexei Navalny)被告(37)に大規模な横領の罪で禁錮5年の実刑判決を言い渡した。これによって、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領の最大の政敵の1人が政界から排除されることになり、国際社会からは懸念の声が上がっている。

 ナワリヌイ被告はモスクワ(Moscow)市長選への出馬準備を行っていた最中でもあり、同国の反体制活動家はこの有罪判決を、反体制活動を行ってきたナワリヌイ被告を処罰するための露骨な措置だと非難した。

 駐ロシア米国大使は「深く失望している」と述べ、欧州連合(EU)加盟諸国も直ちにこの判決を非難。ロシアと欧米諸国との関係をさらに緊迫させかねない新たな外交衝突の火種となっている。

 セルゲイ・ブリノフ(Sergei Blinov)判事は、2009年にナワリヌイ被告がキーロフ(Kirov)州の地方政府で無給の顧問を務めていた際、ある材木契約に関連して地元当局に1600万ルーブル(約5000万円)の損害を負わせたとして、「ナワリヌイ被告は重大な罪を犯した」と述べた。またナワリヌイ被告と共謀したとされるピヨートル・オフィツェロフ(Pyotr Ofitserov)被告も、禁錮4年を言い渡された。

 この有罪判決により、ナワリヌイ被告は政界に進出する資格を失うことになるが、上訴が不可能になるまで選挙運動を行うことは理論上は可能だ。選挙運動担当者によると、同被告は9月8日に予定されているモスクワ市長選への出馬を取りやめる意向で、支持者らに投票のボイコットを呼び掛けている。(c)AFP/Anna MALPAS