【7月18日 AFP】ダウン症候群を引き起こす染色体の働きを止める実験に成功したという研究結果が17日、英科学誌ネイチャー(Nature)に発表された。研究を発表した米マサチューセッツ大医学部(University of Massachusetts Medical School)の研究チームは、長期にわたる研究が必要だがダウン症候群の治療という目標に向けた道が開けたと述べている。

 ダウン症候群は21番染色体がトリソミー(通常より1本多い3本の染色体があること。三染色体性)であることが原因で起きる疾患群で、脳の発達や身体機能に影響を与え、心臓疾患や免疫不全などを引き起こすが、その詳しい仕組みは分かっていない。

 研究チームは、この余分な1本の染色体に「XIST」という遺伝子を挿入し、余分な染色体全体の働きを止める「スイッチ」のような働きをさせることに成功した。染色体全体の働きを修正させることに成功したのは初めてだという。

 研究チームのジャンヌ・ローレンス(Jeanne Lawrence)教授は、「今回原理が証明されたことを機に多くの症状の研究が進み、将来的には『染色体治療』の研究がなされることを期待する」と話した。

 研究室での実験に成功したことを受け、研究チームは遺伝子操作で21番染色体をトリソミーにしたマウスを使った実験に着手した。同教授はAFPの電話インタビューで「1年以内に結果が分かれば」と語った。(c)AFP/Richard INGHAM