【7月17日 AFP】米フロリダ(Florida)州中部サンフォード(Sanford)の自衛居住区(ゲートコミュニティー)で昨年2月、近所に住んでいた黒人のトレイボン・マーティン(Trayvon Martin)さん(当時17)を射殺したとして第2級殺人罪に問われながら、14日に無罪評決が下されたジョージ・ジマーマン(George Zimmerman)被告の裁判で、陪審を務めた女性が16日、同裁判に関する回顧録を執筆する計画を撤回した。

「陪審員B37」としか明かされていないこの女性は発表した声明で、陪審員として隔離されている間、人種問題が絡むこの事件が人々にもたらした「痛み」の深さからも遮断されていたと述べ、無罪評決が全米に引き起こした抗議デモなどの世論を目の当たりにし、回顧録を執筆しないことにしたという。

 この女性は15日に放送された米CNNテレビの独占インタビューで、13日の評決に至るまでの詳細を明らかにしていた。白人女性5人、ヒスパニック系の女性1人の計6人で構成されていた陪審団の意見は、審理開始直後はちょうど半数ずつに分かれ「無罪が3人、第2級殺人が1人、故殺が1人」だったという。この女性は「無罪」と考えていた。

 しかし検察側は、ジマーマン被告がマーティンさんを不審人物とみて追跡し、口論を引き起こし、それがマーティンさんの死につながったと主張した。

 女性によると陪審団は最終的に、発砲につながったそうした出来事に法的関連性があるのか、あるいはもしも自己防衛だったとすれば、重要なのは引き金を引く前の一瞬だったのかが争点になった。「何に何を適用できるのか、とても混乱した。有罪にしたいと考えている陪審員たちもいたからだ」という。

 しかし「(適用し得る)法律について何時間もかけて議論し、何度も繰り返し読み込んだ結果、(どの法律も)適用し得ないとの結論に達した」という。

 最後に「陪審員B37」の女性は、事件当日の夜に起きたことは、マーティンさんがジマーマン被告を襲い、被告が「命の危険を感じた」のだと理解していると語った。(c)AFP