【7月16日 AFP】フランス革命の象徴である「マリアンヌ(Marianne)」の顔が印刷されたフランスの新しい切手のデザイナーが、トップレス姿の抗議行動で知られるウクライナの女性活動家がモデルの1人だと発言したことで物議を醸している。

 フランス革命記念日(Bastille Day)の14日にフランソワ・オランド(Francois Hollande)大統領が公開したこの切手には、長い髪をふわりと垂らし片手を首の辺りへ持ち上げた若々しく無邪気な目をしたマリアンヌの肩から上の姿が描かれている。

 デザイナーの1人、オリビエ・シアパ(Olivier Ciappa)氏はマイクロブログのツイッター(Twitter)で、「マリアンヌのモデルは誰かとお尋ねになる皆さん、あれは複数の女性をモデルにしていますが、取り立てて言うならインナ・シェフチェンコ(Inna Shevchenko)さんです」と投稿した。  

 シェフチェンコ氏(23)はフランスに政治亡命したウクライナ人で、女性の性的搾取や性差別、宗教団体に対するトップレス姿での抗議活動で知られる自称「過激フェミニスト」グループ「FEMEN」フランス支部のリーダー。

 シアパ氏のツイートを受け、右派のキリスト教民主主義政党が新切手のボイコットを呼び掛けるなどフランスの保守派の間に波紋が広がった後の15日、シアパ氏はAFPの取材に応じ、マリアンヌの肖像が「実在する複数の人物」をモデルにしていると改めて述べ、シェフチェンコ氏に加え女優のマリオン・コティヤール(Marion Cotillard)やクリスティアーヌ・トビラ(Christiane Taubira)法相の名前を挙げた。

■当人は「お下劣」ツイートで反応  

 シアパ氏は、「私の考えでは、胸をあらわにしたマリアンヌは(フランス革命が起きた)1789年においてFEMENのメンバーだったと言えるだろう。自由・平等・友愛というフランスの理念のために闘った女性なのだから」と語った。

 シェフチェンコ氏はAFPに対し、自分がその切手のモデルになっていたとは知らなかったが、フランスは女性が戦う国として世界に知られていると述べた。また自らのツイッターアカウントで、「これからホモフォビア(同性愛嫌悪)や過激派、ファシストは、手紙を送るときに私の尻をなめなくちゃならないわね」と、いかにもFEMENらしい挑発的な言葉でツイートした。 「マリアンヌ」は実在の人物ではないが、フランス革命と自由の象徴で、これまでにも数多くの像や絵画の題材となってきた。数十年にわたってフランス切手の定番の題材となっており、そのデザインの刷新が定期的に行われている。最も有名な「マリアンヌ」像は、19世紀フランス絵画の巨匠ドラクロワ(Eugene Delacroix)の代表作で仏国旗を掲げる「民衆を導く自由の女神」だろう。(c)AFP/Jordane BERTRAND