【7月15日 AFP】2型糖尿病(Type 2 diabetes)患者が血液がんを発症する可能性が他よりも高い理由は、DNAの複製異常によって説明できるかもしれないとの研究論文が、14日の英科学誌ネイチャー・ジェネティクス(Nature Genetics)で発表された。

 2型糖尿病が白血病やリンパ腫と関連があることは、医師らの間で長い間知られているが、その理由は今も分かっていない。

 インペリアル・カレッジ・ロンドン(Imperial College London)公衆衛生大学院(School of Public Health)のフィリップ・フローゲル(Philippe Froguel)氏率いるフランスと英国の研究チームは、2型糖尿病患者2200人を含む7500人近くの血液サンプルを調査し、「CMEsclonal mosaic events)」と呼ばれる細胞の突然変異にその答えがある可能性を示した。

 CMEsは、遺伝子の一部が重複して複製されたり、一部が複製されなかったりする異常。フローゲル氏はフランス国立科学研究センター(National Centre for Scientific ResearchCNRS)の研究者らと共同で研究を行った。

 論文によると、これまでの研究でCMEsが血液がんの発症リスクを10倍高めることが明らかになっている。また、一般集団では通常、CMEsは若年層で極めてまれで、年齢層が上がるにつれて増加し、70歳を超えた人々では全体の約2%でみられるという。

 だが今回の研究で、2型糖尿病患者では、CMEs保有者が健常者と比べて4倍多いことが判明した。また2型糖尿病患者は、腎機能障害、眼病、心臓病などの割合も大幅に高かった。

 フローゲル氏は「2型糖尿病は老化を促進する病気だ。そこでわれわれは、2型糖尿病が、老化と関連するこれらの遺伝子異常の可能性を高めるのではないかと推測した」と語った。「今回の発見は、2型糖尿病患者が血液がんにかかる確率が高い理由を部分的に説明しているかもしれない」

 フローゲル氏は声明で、将来的には、CMEsを形成しやすい2型糖尿病の患者を特定するのに遺伝子検査が役に立つ可能性があると述べた。「これらの患者には、白血病の初期症状が見られるか綿密に追跡調査を行い、軽度の化学療法を開始することが可能かもしれない」(c)AFP