【7月13日 AFP】パキスタンで女性の教育権を訴える活動を行い、昨年10月にイスラム武装勢力「パキスタンのタリバン運動(Tehreek-e-Taliban PakistanTTP)」に銃撃されて頭部に重傷を負っていたマララ・ユスフザイ(Malala Yousafzai)さんが、16歳の誕生日を迎えた12日、国連(UN)本部で演説を行い、「テロリストに口を封じられることはない」と力強く語った。

 マララさんをたたえて国連が「マララ・デー(Malala Day)」と定めたこの日、襲撃以来初めて公の場に姿を見せたマララさんは「テロリストたちは、銃弾で私たちを黙らせることができると思ったのでしょう。でも、それは失敗に終わりました」と話した。

「彼らは私の目標を変えさせて、熱意をくじくことができると考えたのでしょう。でも、私の人生で変わったことはありません。弱さと恐怖心、絶望が消え失せ、強さと力、勇気が生まれたこと以外は」と述べたマララさんは、「本とペンを武器にしよう」とも呼び掛けた。

 2007年に暗殺されたパキスタンのベナジル・ブット(Benazir Bhutto)元首相が使っていたピンクのヘッドスカーフとショールを身に着けたマララさんの平和へのメッセージには称賛の声が送られ、20分の演説の間には何度も聴衆が立ち上がり、拍手喝采を送る場面がみられた。

 マララさんはまたタリバンへの「復讐」は望んでいないとして、「タリバンのメンバーや全てのテロリスト、過激派の子どもたちにも教育を受けてほしい」と発言。「私を撃った男性のことを憎んでさえもいません。その人が目の前にいて、私が銃を手にしていたとしても、撃つことはないでしょう」と語った。

 一方で「過激派はこれまでも今も、本やペン、教育の力を恐れています。教育の力が彼らを黙らせたからです。そして彼らは、女性のことも恐れています」と述べ、「本とペンを手に取りましょう。私たちにとって最も強力な武器です。1人の子どもと1人の教師、1本のペンと1冊の本が、世界を変え得るのです。教育こそが唯一の解決策です」と訴えた。

 ノーベル平和賞(Nobel Peace Prize)の有力候補と目されているマララさんだが、タリバンはマララさんが標的であることに変わりはないと明言している。 

 マララさんは自宅があったパキスタン北西部のスワト渓谷(Swat Valley)で通学バスに乗っていたところを銃撃され、英国で治療を受けて一命を取り留めた後も、同国で暮らしている。(c)AFP