【7月13日 AFP】インドネシアの小学校で使用されていた教科書に「売春宿での官能的な出会い」を描いた記述が含まれていたため、回収が命じられたことが、当局の11日の発表で分かった。

 イスラム教徒が多数を占める保守的なインドネシアの保護者らは、子どもたちが「ポルノにさらされた」と憤っている。

 問題となったのは「羊飼いの少年とオオカミの母」と題する物語で、首都ジャカルタ(Jakarta)近郊ボゴール(Bogor)市の複数の小学校で11歳の学年が使う読書の教科書に収録されていた。

 あらすじは、遠く離れた村に住むわが子を養うために売春宿で体を売る女に出会った男が、自らの情欲を克服するという内容。「女たちが体を売る薄暗い場所で、その女の美しさを目にした男ののどぼとけは、さっと上下した」「女は彼の腕の中で身を震わせ、あたかもその部屋の蛍光灯の明かりのように、自分の体が燃え上がるのを感じた」といった記述があった。

 保守的な同地域の地元当局は、2校の保護者らからの苦情の手紙を受け取り、学校側に教科書の使用を中止するよう通達した。この教科書を与えられた児童の親の1人は、地元紙ジャカルタ・グローブ(Jakarta Globe)に「この本の中にあった物語はまるでポルノみたいだ」と話している。

 市広報は教科書について、学校側が教育局の許可を受けずに勝手に購入したものだと弁明。「カリキュラムにはなく、学校が保護者に購入するよう求めたもの。こうした場合、通常は最初に教育局の許可を得ることになっている」と述べた。

 この物語は元々インターネットのブログに掲載されていたもので、業者がこれを教科書の中に含めて印刷した。学校はこの教科書を、市街の露天商から300円前後で買い上げていたという。

 インドネシアでは今年に入ってからジャワ島でも、性行為を示す図版や、「幼児殺し」をほのめかす記述があったとして、保健の教科書2冊が禁止されている。(c)AFP