【7月12日 MODE PRESS】コレクションラインに留まらず、アイウエアやホームウェアライン、ユニクロとコラボレーションしたキッズラインなど、世界を舞台に幅広い展開をしている「カレン ウォーカー(KAREN WALKER)」。今回、約1年ぶりに来日したデザイナー、カレン ウォーカー(KAREN WALKER)にブランドの今、そしてこれからについて話を聞いた。

■2013-14AWコレクションについて:着想のきっかけ

 実用性とロマンスの融合を表現したいと考えました。実用的でマスキュリンな服がどうしたら、ロマンティックで柔らかい要素を取り戻せるかということを考えコレクションを制作しました。

 一見相反するテーマでも、調和する部分はあると考えています。しかし最終的には出来上がったものがしっくりくるかどうかで決めています。デザインをスケッチするときでもそうですし、サンプルができたときや最終的な生地が出来上がったときもそうです。コレクションの制作には難しさがつきものですが、ほとんどの場合は最終的にチームが満足できる形まで落とし込めています。今回の場合も、実用的な要素とロマンティックな要素をどう組み合わせてバランスを取るかという部分は難しかったのですが、ナチュラルで快適、という実用性の側面から最初のデザインを考え、次にどのようにロマンティックなかわいさを融合させるか、そこを考えて制作をしました。

 コレクションでは、最初と最後にそのシーズンを代表するようなルックを取り入れています。ですから、毎回最初と最後のルックには特に強い思い入れがあります。また、私は個人的にロングコートが大好きなので、今季の最初のルックで登場するロングコートはとても気に入っています。加えて、オーバーサイズのコートや60年代風のエレガントなコート、また、実用的なスタイルのチュニックやブラウスもお気に入りです。
 制作するときは、まずアイディアからざっくりしたコンセプトを考えます。インスピレーションは絶えず自分の頭の中にありますし、アイディアも常にストックしています。そうした断片的なアイディアの中から自分の中で考えをまとめ、コンセプトを作ります。ですから頭の奥では常にデザインのことを考えています。

■コラボレーションプロジェクト:ユニクロとのコラボレーション、その決め手

 まずは、誰もがユニクロを好きだという点です。彼らはファッション業界と流通のあり方に次々と新しいアイディアを取り入れ、ファッションの経営を革新的に変化させました。私の出身であるニュージーランドには店鋪も取り扱い店もありませんが、誰もが彼らがどういう企業で、どうして人気なのかを知っています。

 また、私たちが手がけたことのないキッズラインでの展開という点も魅力を感じました。もともとキッズラインはやってみたいと思っていたのですが、キッズウェアはこうあるべき、という理想もありました。つまり、子ども服は高価である必要はないと。私も5歳の娘がいるのですが、子どもの成長は本当に早いですし、買った服が2週間後には入らないということが往々にしてあります。ですから私にとって、子どもに着せる服は値段よりも丈夫かどうか、洗濯機で何度も洗えるかどうかなどの方が重要なのです。その点今回のコラボレーションは、安く、早く商品化でき、しかもとても楽しく、丈夫で、かわいいものに仕上げることができました。キッズラインの出発点としては本当に良いスタートだったと思います。
 
 デザインは最初、子どもの落書きのように、大量の紙にボールペンでイラストを描くところから始めました。実際に子ども達が着ている写真をみなさんがフェイスブックやインスタグラムに投稿してくれました。それが本当に素敵で、眺めているだけでも楽しい。私の娘も毎日学校に違うユニクロとのコラボレーションシリーズを着て学校に行っています。「これが私の“カレン ウォーカー”よ」ってクラスで見せびらかしているみたい。きっと先生も呆れていると思いますよ(笑)。

■広がるブランドの世界:コラボレーションを通して

 いろいろな企業とのコラボレーションの話は常にありますし、実際に長期でシューズブランドとコラボレーションも行っています。またバッグのコラボレーションも始める予定です。これも長期的なプロジェクトになると思います。短期か長期かは、コラボレーションするブランドや製品によって変わってきますし、何より新しいことができるかどうかという基準で決めています。

 また私たちは現在、3つのアパレルラインとアイウエア、ファインジュエリー、ダイアモンド、ホームウェア、そしてユニクロとのコラボレーションによるキッズラインと様々なジャンルを手がけています。こうしたジャンルでできることは拡大していきたいですね。まだ挑戦したことのない分野に関しても、私たちにできることは多々あると考えています。実際に、現在交渉中や企画中のプロジェクトもありますよ。これからも私たちの創る世界には新しいものを取り入れていきたいと考えていますが、何よりも大事なのはそれが自分たちにとって正しいことと思えるかどうかですね。

■幅広いブランド展開によって感じること

 ホームウェアコレクションは2年前に始めたばかりですが、とても楽しく制作しています。デザインもカラフルで、まさに「かわいい(kawaii)」という感覚に近いと思います。毎回、その世界観をより堪能できるような楽しいアイテムを追加しています。娘も海に行く時は必ずカレン・ウォーカーのビーチタオルを持って行きたがりますね。そうやって誰かが自分の作ったものに愛情を持ってくれて、使いたいと思ってくれる・・・そういう時にいい仕事をしたな、と感じますね。

 プレタと比べると、ホームウェアはより「楽しい」という感覚に基づいて作っているという点で違いはありますが、どのコレクションも手描きでデザインするのは一緒ですし、それが一番大切にしている点でもあります。様々なアイテムが増えていく中で、おもしろいなと感じるのは、一つのラインに合わせて作ったデザインが、他のアイテムにも応用できることです。例えば、もともとはプレタの模様として描いたデザインをジュエリーラインでブレスレットの模様に使ったり、アイウエアの縁にあしらったりしました。それが、ブランドとして一つの世界観を表現することにもつながっています。

■どの場所にもない感覚を持つ日本が大好き

 日本は大好きです。似た場所がどこにもないし、どこをとっても他の国とは違うので圧倒されます。特に好きなのはまず、デザインのセンスです。あらゆる所に静けさが漂っていて、混んでいる場所でさえ窮屈に感じないほど、自由な空間があります。それは空間までもがデザインされているからだと私は思っています。電車の中は例外ですが・・・・(笑)。

 それに、他の人への尊敬の態度や、儀式やマナーを大切にする感覚も他の国にはない日本独特のスタイルだと思います。飛行機が離陸するとき、整備士の人たちがお辞儀をしていて本当にびっくりしました。世界中の誰もがストリートスタイルを見て、同じ雑誌を読んでいる今日でも、日本人のスタイルはまだ独特なものとして残り続けています。街に出て、日本人のスタイルを見たり、彼らが違う要素をミックスして作ったスタイルを見るのが本当に好きです。(c)MODE PRESS