【7月12日 AFP】歴史認識をめぐり日本と近隣諸国の溝がいっそう深まっているとの調査結果を、米独立系世論調査機関ピュー・リサーチ・センター(Pew Research Center)が11日、発表した。

 3月~4月初旬に8か国の成人を対象に電話と対面で実施した調査からは、韓国と中国では大多数が日本は過去の戦争について十分に反省していないと考えており、特に韓国では「日本は十分謝罪した」と答えた人がわずか1%だったのに対し、日本では半数以上の国民が謝罪は済んだと捉えるか、そもそも必要ないと考えている現状が明らかになった。

 中韓両国民の日本に対する見方は近年、厳しさを増している。日本に好感を持っていると答えた人は2008年の調査時から減少し、韓国では22%(25ポイント減)、中国では4%(17ポイント減)だった。

 調査結果をまとめたブルース・ストークス(Bruce Stokes)氏は、この変化と、昨年12月に保守的な歴史観で知られる安倍晋三(Shinzo Abe)首相が就任したこととの関連を決定付けるデータは存在しないと指摘する一方、歴史教科書問題や「慰安婦」問題をめぐる政治家発言などが影響しているのは明らかだと述べている。

■若い世代に多い「謝罪は十分」「不要」

 日本では、同じ調査で48%が「日本は十分謝罪した」と答え、15%が「そもそも謝罪する必要はない」と答えている。こうした意見は特に若い世代に多く、18~29歳の回答者では「謝罪は十分」と「不要」が計73%に達した。

 この調査ではまた、戦争の永久放棄を掲げた日本国憲法第9条の改正に、日本人の56%が反対と答え、国民が改正に積極的ではないことも分かった。ただ、反対との回答は2006年時の67%からは減っている。

■東南アジアは日本に好意的

 一方、東南アジア諸国では、日本に対する見方が中韓とは大きく異なっている。インドネシア、マレーシア、フィリピンは旧日本軍による占領を経験した国だが、今回の調査ではいずれも圧倒的多数が日本に好感を持っていると答えた。

 歴史認識をめぐる北東アジアでの衝突にも、東南アジアの人々はほとんど関心を持っていないようで、日本は十分に謝罪したかとの問いにマレーシアでは10人中4人が回答を示さなかった。(c)AFP/Shaun Tandon