【7月12日 AFP】国連(UN)の旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷(International Criminal Tribunal for the former YugoslaviaICTY)は11日、ボスニア・ヘルツェゴビナ内戦(1992~95年)中の残虐行為で人道に対する罪などに問われている当時のセルビア人勢力指導者、ラドバン・カラジッチ(Radovan Karadzic)被告(68)に対する上級審判決で、ジェノサイド(大量虐殺)の罪について、無罪とした一審の判断を破棄し、審理を差し戻した。

 上訴裁判部の判事は、1992年3~12月にボスニア各自治体でイスラム教徒やクロアチア系住民がボスニアのセルビア人に殺害されたとされる事件に関連して、大量虐殺を行う意図を示す「証拠はなかったと(一審で)結論付けられたのは間違っていた」と述べた。

 カラジッチ被告はこれで、大量虐殺の罪2件と戦争犯罪および人道に対する罪など、計11件の罪に問われることになる。同被告は、これらの罪状について無罪を主張している。

 罪状は全て、10万人が殺害され約220万人が家を失ったボスニア・ヘルツェゴビナ内戦における被告の役割に関連したもの。1件目の大量虐殺の罪は、ボスニアの各自治体からクロアチア系住民とイスラム教徒を「永久に排除」し、その土地をセルビア人の領土にするという運動に関連している。

 2件目は、1995年にボスニア地方東部のスレブレニツァ(Srebrenica)で発生した大量虐殺に関する罪で、この事件では約8000人に上るイスラム教徒の成人男性と少年が殺害され、集団墓地に埋められたとされる。

 11日は、第2次世界大戦(World War II)後の欧州で最悪の大虐殺とされるこのスレブレニツァの虐殺から18年目に当たる日だった。スレブレニツァではこの日、新たに身元が確認された409人の犠牲者の遺体が再埋葬された。うち1人は、生まれたばかりの赤ちゃんだった。(c)AFP/Jan HENNOP