【7月11日 AFP】2020年夏季五輪の招致が成功となれば、東京は世界で最も厳しい反ドーピング規制を敷いた模範的な大会を開催すると誓っている。

 一流の検査技術を持つ最先端の研究設備と、薬物使用による能力向上を良しとしない社会的風潮により、日本は反ドーピング運動の先導役になったと、支持者は語る。

 日本オリンピック委員会(Japanese Olympic CommitteeJOC)の水野正人(Masato Mizuno)副会長は、「日本は反ドーピングにおいて世界をリードする存在となっており、世界最高水準の医療技術を誇っている」とコメントした。

「反ドーピング運動の発展において、日本は引き続き最前線に立ち、2020年にはクリーンなスポーツの模範を示し、世界に素晴らしい遺産を残せることを楽しみにしている」

 ドーピング問題における日本の実績は称賛に値すると、関係者も認める。

 世界反ドーピング機関(World Anti-Doping AgencyWADA)の初代会長で、現在は国際オリンピック委員会(International Olympic CommitteeIOC)の委員を務めるカナダのリチャード・パウンド(Richard Pound)氏は、スイスのローザンヌ(Lausanne)でAFPの取材に応じ、薬物検査において「日本が世界屈指の国であることは事実」と述べた。

 さらに「スペインは少なからず問題がある」としつつも、この点が開催地決定の投票を左右するものではないと指摘した。

 東京、マドリード(Madrid)、イスタンブール(Istanbul)が最終候補となっている2020年夏季五輪の開催地は、9月7日にブエノスアイレス(Buenos Aires)で行われる総会でIOC委員の投票によって決定される。五輪には、膨大な数のアスリートが集結する。

 WADAの記録によると、昨年のロンドン五輪の開幕前、開催期間中を通じて100人を超えるアスリートがドーピング違反で摘発された。東京は、この数を下回ることを念頭に置いている。

 IOCでメディカルディレクターを務めるリチャード・バジェット(Richard Budgett)氏は、IOCが派遣する強力な反ドーピング組織も、日本のシステムによって強化されるだろうとの期待を口にし、薬物違反のない五輪を目指すという目標は、高潔なものであるとも共感を示した。

「素晴らしい発想だ」

「自制心を高めようとする者、検査技術の向上に取り組む者、すべての人に刺激を与える大会」の実現は、非常に有益になるだろうという。

「活動的で大規模な研究設備を有する日本は、反ドーピングにおいて信頼の置ける歴史を持っており、そういった五輪を開催するには最高の場所だ」

 日本アンチ・ドーピング機構(Japan Anti-Doping AgencyJADA)によると、2007年以降に国内で禁止薬物の陽性反応が確認されたアスリートは40人となっている。一方、米国反ドーピング機関(United States Anti-Doping AgencyUSADA)の公式サイトで公表されているドーピング違反の件数は、2012年だけて37件となっている。(c)AFP