伊東豊雄×滝沢直己トークイベント開催、世界レベルの洗練されたミニマルな国「日本」
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【7月10日 MODE PRESS】ヴェネツィア・ビエンナーレ「金獅子賞」や王立英国建築家協会(RIBA)ロイヤルゴールドメダル、建築界のノーベル賞とも称されるプリツカー賞など、これまで数々の賞を受賞し世界を舞台に活躍する建築家・伊東豊雄(Toyo Ito)氏と、長年「イッセイ ミヤケ」でデザイナーとして才能を発揮し、現在「ユニクロ(UNIQLO)」のデザインディレクターを務める滝沢直己(Naoki Takizawa)氏が8日、東京・青山にあるトッズ表参道ビルでトークイベント(主催:東京ファッションデザイナー協議会)を開催し、「デザインの“意味”そして“未来”」について約2時間にわたり語り合った。 ―伊東豊雄氏のコメント(要約抜粋) 3.11以降、それまで美しいと思っていたものがどれほどの価値があるのだろう、、、と考えさせられました。建築も人の気持ちに寄り添ったモノの捉え方があってもいいのではないだろうかと考えるようになり、「みんなの家」しかり、今回の会場であるトッズビルしかり、、、「ユニクロ」のようにたくさんのひとがいいねと言ってくれる現代建築があると思います。 ファッションデザイナーとして、三宅一生さんの“一枚の布”は衝撃的でした。まさに和と洋が混在した完成品だ思います。日本は、一言で言うなら“ミニマルな国”。“洗練の技術”というものが、日本人は得意だと思います。またそういった類のものは、海外でとても評価されます。しかし、僕はあえてそれに逆らいたい。だからといって、ソフィスティケーション(sophistication)に逆らうことは、避けたい。いつも、常に、違うことをやりたいと思っています。仕事をする上で、’日本”を意識してはないけれど、自分たちが信じてきたモダニズムの先に何かがあるのではないかと信じている。そこには、また違った現代建築のおもしろさがきっとあるのではないかと僕は思うのです。 ―滝沢直己氏のコメント(要約抜粋) かつてイヴ・サンローランがクチュールからプレタへ移行した挑戦のように、大衆の中に入って、ものを作って行くことの重要さもあるのではないかと今ぼくは感じています。今ユニクロの仕事をしながら日々思い知らされることがたくさんあって、たとえば海外にいくと、ユニクロの服はとても“日本的”だといわれる。スペインやフランス、アメリカ、イタリア、その国なりの色があるように、日本の色使いや感覚が至る所に組み込まれているのです。日本人である僕らは意識せずとも潜在的に持っている、日本的な捉え方、そしてクオリティは、世界から見れば武器なのだと。時代はグローバル化を推し進めるなかで、あえてそれを均一化する必要があるのかとさえ海外では言われてしまう。海外に出て、日本的であって良いのだという自信をもらうというのもおもしろいなと思いました。 ユニクロの仕事をしていても、オートクチュールの仕事をしていても、共通していえることはクリエイティブでなければ、感情を揺さぶるものはつくれないということ。トレンドは、ファッションデザイナーがつくっているわけではありません。それを見たひとたちが評価して始めてトレンドになる。それを決めるのは大衆なのです。 デザイナーとしての経験を積んでいくとと、価値観も変わってくる。ステージによって向き合う服が変わっていくのです。Tシャツ一枚とっても、時代が反映されます。一枚のものに固執するのも、自分の本質。だけれども今、僕はこれを100万枚のものへと置き換えることができるかということにとても興味があるのです。【岩田奈那】(c)MODE PRESS