【7月9日 senken h】今では当たり前のこととなった、百貨店での美術展や物産展の開催、そして日本の象徴・おもてなしの心。こうした文化を日本に根付かせてきた立役者が、180年の歴史を持つ髙島屋。「人」を一番に考え、文化を発信し続けてきた同社が、次の200年に向け力を注ぐのが、リアルとネットの融合=オムニチャネル戦略の推進だ。髙島屋のDNAを受け継ぎながら、百貨店事業の変革を目指す新たな取り組みについて、高島屋クロスメディア事業部長兼セレクトスクエア 代表取締役社長の屬(さっか)健太郎さんに話を聞いた。


■ライフスタイルチャネルの歴史と今

 「1900年代、豊かな暮らしの舞台は百貨店にありました。美術館がなかった時代から百貨店では展覧会や文化催事が行われ、憧れの海外ブランドや雑貨、食料品がいち早く店頭に。百貨店建築としては初めて重要文化財に指定された日本橋髙島屋に代表されるように、建築物自体にも魅力があり、文化やエンターテインメント、ショッピング、すべてが融合したライフスタイルチャネルでした。一方、インターネットの普及とともに人々の生活や価値観が大きく変貌した現代、百貨店全体が出遅れているのが現状です。
 髙島屋の未来を作っていくために、生き残っていくためにどうすれば良いのか。答えは髙島屋180年の歴史の中にありました」

■デジタルフューチャーデパートメントへ向けて
 
 「お客様の生活を豊かにし、最大限に満足して頂くためには、新しい価値自体を発信できる存在にならなければいけません。その柱となるオムニチャネル戦略は、昨年業務提携したセレクトスクエアのノウハウと髙島屋の事業アセットを組み合わせ、情報プラットフォームを整備して、我々小売業と切っても切り離せない『品揃え、売場、集客・販売』を進化させることにあります。
 品揃えでは自主編集売場『スタイル&エディット』『CSケーススタディ』からネットとリアルの品揃えの共通化と在庫一元管理を始め、品揃えの幅も拡大し、百貨店にあるものすべてがネットで買えるよう目指していきます。集客・販売面では、オンライン会員と髙島屋カード会員約300万人の顧客データを一本化し、さまざまなチャネルを活用したコミュニケーションも強化。いずれは年間2億5000万人、ユニークでは2500万人にのぼる来店者様のオンライン会員化も見据えています。最後に売り場では、自社メディアを活用し情報を伝達・拡散する力をアップするとともに、お客様にパーソナライズされた情報をお届けできる体制を構築。プロジェクションマッピングや今までとは異なる催事のアプローチ、ICT(情報通信技術)を活用した新しい店舗演出など、これまでにない体験の提案も行います。オムニチャネル戦略だけでなく、次世代顧客拡大に向けたMDや、物流システム、商品力強化にも当然力を注ぎますし、お客様に来たいと思って頂ける状況を生み出し続ける企業体質に変わっていくことも必要だと思っています。

■180年の伝統と革新を現代に再構築
 
 「先日、スマートフォンやタブレットの表示を最適化したセレクトスクエアでは、一部導入している髙島屋のファッションアイテムもさらに増やす予定です。秋には髙島屋オンラインストアのギフト区分けを整理、平行してカタログのデジタル化も考えています。最初の1年目でできることは非常に基本的な事と思いますが、エンターテインメントや文化を革新的に創造してきた髙島屋のDNAをもう一度呼び起こしながら、新しいリソースやビジョンを取り込み、夢を持って百貨店事業を再発明したい。今のソリューションやテクノロジーを使って小売業自体を革新させる、つまり百貨店ビジネスの在り方そのものを変えることを目指しています。
 あらゆるライフスタイルを網羅する高感度な商材サービス、ユニークで2500万人が訪れるリアル店舗とECの完全なる合致、店舗とECと自社メディアによる情報発信機能、エンターテインメント機能を持ちテーマパークのように人が集まる館がひとつになった21世紀のライフスタイルチャネル――髙島屋180年の歴史にあったイノベーションとアート、エンタメを、今の時代に再構築したい。まだ生かしきれていない資産はたくさんあり、そこには大きな可能性があると思っています」


◆髙島屋オンラインストア/ギフト選びが楽しくなる、とっておきのアイテムが目白押し
 
 話題のコスメやインテリア、生活雑貨にスイーツまで髙島屋ならではの高品質なアイテムが多彩に揃うオンラインストア。とくにギフトについては、品揃えの豊富さはもちろん、シーン・贈り先・予算などの絞り込み機能、熨斗(のし)やラッピング対応と、「ギフトを買うならここ」と思わせるきめ細やかさがすばらしい。また、欲しいアイテムが見つけやすいレコメンド機能や、思い立った時にすぐチェックできるスマートフォン対応など、進化を続ける使い勝手の良さも多くのユーザーに支持される理由。まずはお世話になったあの人に、ここからお中元を贈ってみては。

◆セレクトスクエア/最旬ファッションアイテムが揃うファッション通販サイト
 
 「トゥモローランド」「ユナイテッドアローズ」など、50以上の人気セレクトショップと800以上のブランドが一堂に揃うファッション通販サイト。トレンドから次世代の新進ブランドまでをセレクトする「スタイル&エディット」と選りすぐりのアイテムが並ぶ「CSケーススタディ」を皮切りに、髙島屋のアイテムの取り扱いもスタート。明日のコーディネートを提案する「オトナセレクト」などの特集に加え、先行受注会、返品受付、送料無料キャンペーンなどのサービスも幅広く提供している。6月にはサイトリニューアルを行い、コンテンツのさらなる充実を図っている。(c)senken h / text:加藤陽美

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