【7月8日 AFP】エジプト・カイロ(Cairo)の共和国防衛隊(Republican Guard)本部前で8日早朝、ムハンマド・モルシ(Mohamed Morsi)前大統領の解任に抗議するデモ隊が銃撃を受け、少なくとも42人が死亡し、322人が負傷した。救急当局が同日、AFPに語った。目撃者によると、発砲したのは軍人ではなく、一般人の格好をしていたという。

 これに先立ち、モルシ前大統領の出身母体「ムスリム同胞団(Muslim Brotherhood)」は、警察と治安部隊がデモ隊に発砲し、同胞団の支持者35人が殺害されたと発表していた。しかし、現場にいた同胞団の支持者を含む複数の目撃者は、軍は催涙ガスを発射し威嚇射撃をしていただけだったと話している。

 事件を受け、厳格なイスラム原理主義を掲げる「サラフィスト(Salafist)」の「ヌール党(Al-Nur、光の党)」は同日、暫定政権の樹立に向けた協議から離脱すると表明した。2011年の選挙で25%近くを得票し、議会第2党となったヌール党はこれまで、前週の軍によるモルシ氏の大統領解任を支持していた。

 一方、エジプト軍が半国営の中東通信(MENA)を通じて明らかにしたところによると、デモ隊への銃撃があった後、武装したモルシ氏の支持者らが兵士2人を拉致したとみられている。2人は車に押し込められ、拡声器を通じてモルシ氏を支持し軍を批判するよう強制させられたとし、その様子は映像に撮影されていた。また兵士1人については暴行を受けた様子がみられたという。

 また治安当局筋によるとエジプト検察当局は、ムスリム同胞団の政治組織「自由公正党(Freedom and Justice Party)」の政党本部から武器が見つかったとして、本部の閉鎖を命じた。警察の捜索で「可燃性の液体、刃物や武器など」が押収されたという。(c)AFP