【7月8日 AFP】米国家安全保障局(National Security AgencyNSA)による極秘の個人情報収集プログラムを内部告発した米中央情報局(CIA)元職員エドワード・スノーデン(Edward Snowden)容疑者(30)が明かしたとされる、米国の情報活動に関する新たな情報が7日、ドイツとブラジルのメディアによって相次いで報じられた。

 報道によると、NSAの監視プログラムを非難してきた欧州諸国が、実はNSAと情報活動に関する広範囲な協定を結んでいたという。NSAはまた、ブラジルで数百万件の電話や電子メールを傍受していたとされている。

 ドイツの大手ニュース週刊誌シュピーゲル(Der Spiegel)は、スノーデン容疑者が先月に米監視プログラムの存在を暴露する前に行われたインタビューの内容を、ドイツ語で公表した。その中で同容疑者は、NSAの情報員が「ドイツを含む西洋諸国の大半と同じベッドで寝ている」と語っている。NSAの「外交局(Foreign Affairs Directorate)」と呼ばれる部署が諸外国の情報機関と協力していたという。仮に「世界のプライバシーをひどく侵害していること」が公に知られたとしても、「各国の政治指導者たちへの反発が起きない」ように協力関係は組織されているという。

 一方、ブラジル日刊紙オ・グロボ(O Globo)は、スノーデン容疑者から入手した資料をもとに、NSAがブラジル国内の居住者と企業、旅行者に対するスパイ行為を行っていたと報じた。記事は、スノーデン容疑者による米監視プログラムの暴露を公表した英紙ガーディアン(Guardian)のグレン・グリーンウォルド(Glenn Greenwald)氏が共同執筆したもので、「正確な数字は分かっていないが、1月のブラジル(での情報傍受件数)は、23億件の通話とメッセージが傍受された米国に次いでいた」と報じている。

 オ・グロボ紙によれば、スノーデン容疑者から入手した資料には「フェアビュー(Fairview)」と呼ばれる計画についての詳細が書かれていた。同計画でNSAは、ある大手電話会社の協力を得て、同社が関係を持っている外国企業のシステムへのアクセスを獲得していたという。

「NSAはフェアビュー計画を用いて、ブラジルの電気通信システムに直接アクセスした。これにより、数百万の人々、企業、機関の通話や電子メールの記録を収集することができた」(オ・グロボ紙)

 ブラジル外務省の報道官はAFPの取材に対し、政府はこの疑惑について「極めて深刻」に受け止めていると語った。(c)AFP