【7月6日 AFP】6日に行われるテニス、ウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon 2013)の女子シングルス決勝で、大会第23シードのザビーネ・リシキ(Sabine Lisicki、ドイツ)は、第15シードのマリオン・バルトリ(Marion Bartoli、フランス)と対戦する。

 リシキが自身にとって初の四大大会(グランドスラム)決勝でセンターコートに立つ事。それは子どもの頃からの夢が成就する瞬間であるとともに、3年前から始まった苦悩の日々にハッピーエンドが訪れる事でもある。

 4日の準決勝で第4シードのアニエスカ・ラドワンスカ(Agnieszka Radwanska、ポーランド)を劇的に下して歓喜する姿は、2010年のBNPパリバ・オープン(BNP Paribas Open 2010)で左足首を負傷し、何か月も松葉杖に頼らなければいけなかった頃のリシキとは別人のようだった。

 歩行がままならず、前途有望とされていたテニスのキャリアも危うくなっていたリシキにとって、それは人生の岐路だった。

 体にこれ以上のダメージを与えるリスクを回避するよう、引退を勧める周囲に対し、リシキが折れることはなかった。そして5か月にもわたるリハビリを経て、再びプレーができるようになった。

 しかし、トップレベルのテニスに戻るのも平坦な道ではなかった。

 23位だった世界ランクも2010年の終わりには179位に沈み込み、2011年3月には218位に下落した。

 ところが2011年のウィンブルドン(The Championships Wimbledon 2011)にワイルドカード(主催者推薦)で出場してベスト4入りして以降、リシキは後戻りをすることなく、快進撃を続けている。

■テニスは「信じる心をくれる」

 今大会、アクションに富むプレースタイルや、その明るい笑顔で観客の心を掴んだリシキにとって、決勝でバルトリを下して初のグランドスラムタイトルを手にすることは、さらなる喜びとなる。

「いつも信じる心を持っていた。いつも、何があっても。今でも思い出すことができる。6週間の松葉杖生活になりますよと医者に言われたことを」とリシキは振り返る。

「この期間は、私をもっと強い人間に、選手に成長させてくれた。再び歩けるようになってから、不可能なことはないと知った」

「私はこのスポーツが大好きで、コートに立てない時には本当にテニスが恋しくなる。テニスは、乗り越えられない事なんてないと信じる心を私にくれる」

 一方でリシキはライバルから、裏話を誇張していると疑いを持たれ、また感情表現がオーバーだとの批判も受けている。

 それに対し本人は、「それが私。プレーする時はいつも楽しんでる。だからそれを表現してもいいでしょう?」と言う。

「私は感情的な人間。感情を出すことでリラックスできるし、テニスを楽しんで、私にとって最高のプレーができるようになる。私は自分を変えようとは思っていない」

■近年最高のコンディションのバルトリ

 この決勝では、過去4戦のバルトリとの直接対決で、3度勝利しているリシキが優勢とされている。

 しかし、バルトリは2007年大会でも、ヴィーナス・ウィリアムス(Venus Williams、米国)に敗れてはいるが、ウィンブルドン決勝でプレーした経験を持っている。

 バルトリは、長年コーチを務めた父、ワルテル・バルトリ(Walter Bartoli)氏に代わって、同じくフランス人の元ウィンブルドン覇者のアメリー・モウレズモ(Amelie Mauresmo)氏の指導を受けるようになってから、自身にとってベストコンディションを手に入れることに成功した。

「ショットのスピードや、動きなどを比較すると、6年前の自分よりもずっと良くなっている」とバルトリは語る。

「私は成長している。厳しい時期もあるけど、いつも立ち直ってたくさん練習をして、自分を信じることができた」

「このような心構えに報いるご褒美があってもいいと思う時もあったけど、今年はそれがもらえたわ」

(c)AFP