【7月3日 AFP】テニス、ウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon 2013)女子シングルスに出場しているザビーネ・リシキ(Sabine Lisicki、ドイツ)は2日、わずか3年前に足首の故障で選手生命を脅かされたことを思い返し、準決勝進出は夢のようだと語った。

 力強いサーブを強みとするリシキは4回戦で大会第1シードのセレーナ・ウィリアムス(Serena Williams、米国)から白星を挙げて衝撃を与え、続く準々決勝では6-3、6-3でエストニアのカイア・カネピ(Kaia Kanepi)を一蹴して4強入りを果たした。

 準決勝では第4シードのアニエスカ・ラドワンスカ(Agnieszka Radwanska、ポーランド)と対戦する。

 リシキがオールイングランド・ローンテニス・アンド・クローケー・クラブ(All England Lawn Tennis and Croquet Club)で残した過去最高成績は、2011年大会(The Championships Wimbledon 2013)でのベスト4で、その時は準決勝でマリア・シャラポワ(Maria Sharapova、ロシア)に敗れた。

 23歳のリシキが準決勝を突破すれば、四大大会(グランドスラム)では自身初の決勝を経験することになり、ウィンブルドンでの決勝進出となれば、ドイツ勢では1999年大会シュテフィ・グラフ(Steffi Graf)氏以来となる。

■けがからの復活、さらなる飛躍

 この2日間でリシキは、2010年のBNPパリバ・オープン(BNP Paribas Open 2010)で深刻な足首の故障に見舞われ、松葉杖を使って生活していた数か月間からは考えられない喜びを味わっている。

 当時5か月間におよぶリハビリを経て戦列復帰を果たしたが、離脱前は20位台につけていた世界ランクも2010年末頃には179位まで沈み、翌年3月には同218位まで落ち込んだ。

「3年前の私はどうやったらまた歩けるのかを練習していた状態で、その経験から生きていく上ですべての瞬間に感謝するようになった」

「再び歩けるようになると、健康な2本足があるということがどれだけありがたいことかを実感させてくれた」

「松葉杖をついていると何も持てないので、誰かに助けてもらわないといけない。だから歩けるようになって自分の荷物を自分で持てるというだけで幸せを感じたわ」

「コートに復帰して戦えるようになって、しかもけがの前よりもさらに高いレベルに到達できたという事実は、ものすごい力を与えてくれる」

「今では試合をしている時の感覚も変わったわ」

■テニスファンの心つかんだリシキ

 明るくさわやかな印象を与えるリシキは、開幕から10日間でウィンブルドンの観衆の心を掴んだ。

 どんなに緊迫した状況でも笑顔を絶やさないリシキは、テニス界から愛され、試合後の記者会見に英国旗が入ったTシャツを来て登場するなど、自らも英国のファンを味方に付けようと努力を怠らない。

「観客から人気があると聞いたわ。これほどの声援をもらえるなんて、本当に信じられない。セレーナとの試合は圧倒されるほどの雰囲気で、最初から最後まで会場のファンに引っ張ってもらった」

「今日も皆さんが応援してくれた。この世で1番幸せな気分よ」

(c)AFP/Steven GRIFFITHS