【7月2日 AFP】インド・ムンバイ(Mumbai)で30日、働き過ぎで太り過ぎの58歳のゾウが死んだ。獣医らが1日明らかにしたところによると、ゾウは路上での芸などで酷使されていた様子だという。

 ムンバイの動物保護団体の職員がAFPに語ったところでは、ビジュリー(Bijlee)というこのゾウの死因は、老衰や足の筋肉の変性、関節炎などに伴う合併症だという。ビジュリーの治療に当たっていた獣医は、「無知や認識の欠如、虐待が原因で死んだ」と説明した。

 十分に世話をしてもらえず、働き過ぎの状態が数十年間続いていたビジュリーは6月、ムンバイ北東部の郊外で倒れているところを発見された。動物愛護活動家やインド映画界「ボリウッド(Bollywood)」の間では嘆き悲しむ声が相次いだ。

 地元紙ムンバイ・ミラー(Mumbai Mirror)は1日、飼い主が50年以上もの間ずっと、ビジュリーに路上で物乞いをさせたり、結婚式で芸をさせたり、こき使っていたと報じた。「ビジュリーの状態は最後の3日間で急激に悪化した。クレーンで支えても、もう立ち上がることができなかった」という。

 ゾウが道路を歩くのはインドでよく見られる光景だが、ムンバイでは禁止されており、宗教行事の時だけ許可される。

 獣医らによると、ビジュリーの飼い主は長い間、スパイスの利いたポテトのパテを挟んだパンなどのジャンクフードを餌として与えていたという。

 アジアゾウは普通、草や植物、樹皮を食べる。インドには野生のアジアゾウが約2万5000頭生息するが、密猟や人間による生息環境の破壊などが原因で、数が減っている。(c)AFP