米同性婚判決から数十分、国外退去の危機逃れた国際カップル
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【6月29日 AFP】配偶者に与えられる連邦法上の優遇措置を同性婚カップルにも拡大した米連邦最高裁の判決は、すぐさま劇的な結果をもたらした。あとほんの少し遅ければ米国から強制退去処分になるところだったコロンビア人男性のスティーブンさん(35)は、今や合法的に米国人の夫と一緒にニューヨーク(New York)に滞在できるようになった。
最高裁のウェブサイト上にこの画期的な判決文が発表されたのは26日午前10時。法律事務所マスライアー・ソロウェーの修習生がそれを印刷し、5ブロック離れた移民裁判所まで走って届けるには30分しか残されていなかった。移民裁判所の判事は、滞在許可証を持たないスティーブンさんの強制送還を検討していた。
2011年にニューヨーク州で同性婚が合法化された後、スティーブンさんは同州で米国人のショーン・ブルックス(Sean Brooks)さん(46)と結婚していた。しかし配偶者へのグリーンカード(永住・労働許可証)付与など、異性カップルの権利として認められている連邦法上の優遇措置は、同性カップルには与えられていない。
大半の米国人にとって、外国人配偶者のグリーンカード申請は単なる手続きでしかない。しかし、ブルックスさんと共に米国に10年間住んできたスティーブンさんにとって、この制度は在留資格を脅かすものであり、彼は国外退去処分に直面していた──あの修習生が、移民裁判所の判事に最高裁が出した判決文の写しを見せるまでは。
「現実の出来事とは思えない。突然誰かに『今から、望んでいた通りの人生を生きていいんだよ』と言われたみたいだ」とブルックスさんはAFPの取材に語った。
レイビ・ソロウェー(Lavi Soloway)弁護士によれば、移民裁判所の判事は、結婚は男女間に限ると定義した連邦法「結婚防衛法(Defense of Marriage Act、DOMA)」がたった今、覆されたことを知り、スティーブンさんの事案が持つ重大な側面を認識したという。
「判事はこの事案の重要性、つまり自分たちの目の前にいるカップルが、米国で初めて連邦政府機関に『結婚したカップル』とみなされる同性婚カップルになるのだということを理解した」
ソロウェー氏は、国際同性カップルが被る不利益や差別の撤廃を目指すために立ち上げられた運動「DOMAプロジェクト(DOMA Project)」の共同発起人。同プロジェクトは、スティーブンさんたちと同様の状況に置かれた同性カップル70組を擁護している。
スティーブンさんは、永住資格が法的に認められることを知り、ただ「ほっとした」という。これで、米国内での就労や、国外渡航ができるようになる。「以前だったら、こういう夢は考えるだけ無駄だった。そんなことが起きないのは明らかだったから」とブルックスさんは言う。
■「迅速かつ劇的な変化」
同性婚カップルへの朗報は、移民権を得るための法改定が必要ない点だ。そのため移民手続きにおいて「迅速かつ劇的な変化」が起こり得たと、グレッグ・シスキンド(Greg Siskind)弁護士は説明する。「同性婚が合法な州や国で行われた結婚は、今後いかなるものも、移住目的として認められる」
最高裁の判決と、それが国際カップルにもたらすだろう影響についてのニュースは、瞬く間に同性愛者たちのコミュニティーに広まった。
人権団体「イミグレーション・イクオリティー(Immigration Equality)」はウェブサイトに、この判決の影響を説明するガイドを掲載した。同団体のレイチェル・ティブン( Rachel Tiven)事務局長は「国外追放されたカップルたちが、もうすぐ故郷に帰って来る。配偶者と引き離されていた米国人たちは再会を準備できる。今日の判決は、DOMAやわが国の差別的な移民法の下で苦しんできた者たちにとって、文字通り人生を変えるものだ」と声明を発表した。
米国では12州と首都ワシントンD.C.(コロンビア特別区)で同性婚が認められている。さらに26日の最高裁判決により、カリフォルニア(California)が13番目の州となった。
しかし残る37州では同性婚は依然禁止されており、同性カップルが連邦法上の優遇措置を受けるには、同性婚を合法としている別の場所で結婚しなければならない。例えばテキサス(Texas)州在住のカップルがニューヨークで結婚した場合、テキサス州の税当局は2人を単身者として扱い続けるが、連邦政府からは婚姻の事実が認められる。
社会的正義を訴える団体「ゲットイコール(GetEQUAL)」のヘザー・クロンク(Heather Cronk)代表は最高裁の判決が出た26日、次のように語った。「今日はいい日だけど、明日はまた活動を続けなければ。結婚の平等を法で認めていない州がまだ37州もある。ただ、間違いなく、今日はいい日」
(c)AFP/Ivan Couronne
最高裁のウェブサイト上にこの画期的な判決文が発表されたのは26日午前10時。法律事務所マスライアー・ソロウェーの修習生がそれを印刷し、5ブロック離れた移民裁判所まで走って届けるには30分しか残されていなかった。移民裁判所の判事は、滞在許可証を持たないスティーブンさんの強制送還を検討していた。
2011年にニューヨーク州で同性婚が合法化された後、スティーブンさんは同州で米国人のショーン・ブルックス(Sean Brooks)さん(46)と結婚していた。しかし配偶者へのグリーンカード(永住・労働許可証)付与など、異性カップルの権利として認められている連邦法上の優遇措置は、同性カップルには与えられていない。
大半の米国人にとって、外国人配偶者のグリーンカード申請は単なる手続きでしかない。しかし、ブルックスさんと共に米国に10年間住んできたスティーブンさんにとって、この制度は在留資格を脅かすものであり、彼は国外退去処分に直面していた──あの修習生が、移民裁判所の判事に最高裁が出した判決文の写しを見せるまでは。
「現実の出来事とは思えない。突然誰かに『今から、望んでいた通りの人生を生きていいんだよ』と言われたみたいだ」とブルックスさんはAFPの取材に語った。
レイビ・ソロウェー(Lavi Soloway)弁護士によれば、移民裁判所の判事は、結婚は男女間に限ると定義した連邦法「結婚防衛法(Defense of Marriage Act、DOMA)」がたった今、覆されたことを知り、スティーブンさんの事案が持つ重大な側面を認識したという。
「判事はこの事案の重要性、つまり自分たちの目の前にいるカップルが、米国で初めて連邦政府機関に『結婚したカップル』とみなされる同性婚カップルになるのだということを理解した」
ソロウェー氏は、国際同性カップルが被る不利益や差別の撤廃を目指すために立ち上げられた運動「DOMAプロジェクト(DOMA Project)」の共同発起人。同プロジェクトは、スティーブンさんたちと同様の状況に置かれた同性カップル70組を擁護している。
スティーブンさんは、永住資格が法的に認められることを知り、ただ「ほっとした」という。これで、米国内での就労や、国外渡航ができるようになる。「以前だったら、こういう夢は考えるだけ無駄だった。そんなことが起きないのは明らかだったから」とブルックスさんは言う。
■「迅速かつ劇的な変化」
同性婚カップルへの朗報は、移民権を得るための法改定が必要ない点だ。そのため移民手続きにおいて「迅速かつ劇的な変化」が起こり得たと、グレッグ・シスキンド(Greg Siskind)弁護士は説明する。「同性婚が合法な州や国で行われた結婚は、今後いかなるものも、移住目的として認められる」
最高裁の判決と、それが国際カップルにもたらすだろう影響についてのニュースは、瞬く間に同性愛者たちのコミュニティーに広まった。
人権団体「イミグレーション・イクオリティー(Immigration Equality)」はウェブサイトに、この判決の影響を説明するガイドを掲載した。同団体のレイチェル・ティブン( Rachel Tiven)事務局長は「国外追放されたカップルたちが、もうすぐ故郷に帰って来る。配偶者と引き離されていた米国人たちは再会を準備できる。今日の判決は、DOMAやわが国の差別的な移民法の下で苦しんできた者たちにとって、文字通り人生を変えるものだ」と声明を発表した。
米国では12州と首都ワシントンD.C.(コロンビア特別区)で同性婚が認められている。さらに26日の最高裁判決により、カリフォルニア(California)が13番目の州となった。
しかし残る37州では同性婚は依然禁止されており、同性カップルが連邦法上の優遇措置を受けるには、同性婚を合法としている別の場所で結婚しなければならない。例えばテキサス(Texas)州在住のカップルがニューヨークで結婚した場合、テキサス州の税当局は2人を単身者として扱い続けるが、連邦政府からは婚姻の事実が認められる。
社会的正義を訴える団体「ゲットイコール(GetEQUAL)」のヘザー・クロンク(Heather Cronk)代表は最高裁の判決が出た26日、次のように語った。「今日はいい日だけど、明日はまた活動を続けなければ。結婚の平等を法で認めていない州がまだ37州もある。ただ、間違いなく、今日はいい日」
(c)AFP/Ivan Couronne