【6月28日 AFP】国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(Human Rights WatchHRW)は27日、中国政府による代替住宅の提供および強制的な移住政策により、チベット人200万人以上が移動を余儀なくされており、その影響から伝統文化や生活様式が著しく失われていると警告した。

 HRWの報告書「They Say We Should Be Grateful': Mass Rehousing and Relocation in Tibetan Areas of China(彼らは私たちに感謝すべきだと言う:中国のチベット人居住区における大量住宅提供および移住政策)」は、中国政府の公式統計を根拠に、2006~12年の間に200万人を超えるチベット人が新しい住居への転居を強いられたとしている。これはチベット自治区に住むチベット人の約3分の2に相当するという。

 HRWで中国部門を担当するソフィー・リチャードソン(Sophie Richardson)氏によると、チベット人に対するこれらの住宅関連政策は、その規模と速さにおいて毛沢東(Mao Zedong)時代以降では前例をみないものだという。さらにリチャードソン氏は、すでに厳しい弾圧下にあるチベット人たちは、政府の政策によって生活様式が劇的に変えられても異議を唱えたり反発する術がないことを指摘した。(c)AFP