【6月25日 AFP】ブラジルのジルマ・ルセフ(Dilma Rousseff)大統領は24日、同国各地で続く大規模な抗議デモを受け、公共交通機関の改善のために500億ブラジルレアル(約2兆1900億円)を拠出する意向を表明した。世界第7位の経済を持つブラジルでは、低レベルな公共サービスや汚職のまん延に怒った市民らによる激しい抗議デモが、約2週間にわたり続いている。

 ルセフ大統領はまた、広範囲な政治改革に関する国民投票の実施も提案。一方で、20日の抗議デモで見られた暴力や破壊行為が繰り返されることは容認できないと警告した。同日のデモでは、ブラジル全土で計120万人が路上に繰り出している。

 ルセフ大統領はさらに、一連の抗議デモで市民らが求めていた健全な財政運営と、保健や教育分野への投資促進の必要性を強調した。

 公共交通運賃の値上げに対する不満から始まった抗議デモは、ルセフ大統領率いる左派政権へのさまざまな不満に対するものに拡大。国民の怒りは、来年開催のサッカーW杯ブラジル大会(2014 World Cup)と、現在開催中のコンフェデレーションズカップ2013(Confederations Cup 2013)の2大会に、計150億ドル(約1兆4600億円)が投じられてきたことにも向けられている。

 こうした状況を受け、ルセフ大統領は首都ブラジリア(Brasilia)で24日、各州知事や市長、「パッセ・リブレ運動(MPL)」を含む主要な抗議デモ主催団体の代表者らと会談した。

 これまで、サンパウロ(Sao Paulo)やリオデジャネイロ(Rio de Janeiro)など数都市で、運賃値上げを撤回させることに成功しているMPLは、ルセフ大統領との会談後、政府との対話にはいつでも応じるとしたうえで、要求が聞き入れられるまで抗議デモは続けると言明した。

 一方、調査会社Ibopeが23日に公表した世論調査の結果によると、W杯の自国開催を支持する国民の割合は、大規模な抗議デモにもかかわらず67%に上っている。 (c)AFP/Yana Marull