【6月19日 AFP】カナダの首都オタワ(Ottawa)の高級住宅街の住民が、野生のリスが邪魔だとして長年にわたり、川の対岸のケベック(Quebec)州に捨てていたことが明らかになった。地元紙が18日、伝えた。

 こうした行為は法律で禁止されているが、オタワ市ウェストボロ(Westboro)地区の住民数人を取材した地元紙オタワシチズン(Ottawa Citizen)の記者によると、数十年にわたって行われてきたことが分かったという。

 オタワシチズン紙の取材に応じたダニエル・シルベスターさんによると、近隣住民は密かにリスを罠にかけ、オタワ川(Ottawa River)にかかる全長1キロの橋を車で渡った先のケベック州ガティノー(Gatineau)市に捕らえたリスを捨てていた。

 住民たちがアライグマ用の罠のようなものを仕掛けていたため、シルベスターさんが質問すると、一帯の住宅に侵入し大きな被害をもたらしているリスを捕まえるためだという答えが返って来た。「やつら(リス)を全部捕まえてケベックに捨てるんだ。やつらは橋を渡れないからな」と言われたという。

 リスは元いた場所から離れた所に捨てられても、元の場所に戻れるが、川や湖を越えた場合は戻ることができないとされている。

 オンタリオ(Ontario)州は、動物の感染症の拡散を予防するため、野生生物を1キロ以上移動させることを法律で禁止している。

「移住」は誰にとってもストレスが大きいが、このリスたちにとっては間違いなくそうだっただろう。というのも、行った先のケベックでは、縄張りを守ろうと怒り心頭の地元のリスたちに出迎えられたに違いないからだ。

 オタワシチズン紙によると、この1件について質問されたオンタリオ州自然資源省は次のように応じた。「そのリスはフランス語が話せますか?」。オンタリオ州はほとんどが英語圏だが、ケベック州は大半がフランス語を話す。

 同省報道官はAFPの取材に対し、現在は当局が「状況を認識している」と語った。(c)AFP