【6月18日 AFP】約10年間に及ぶ米国の支援プログラムによって、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の母子感染を避けることができた100万人目の子どもが今月、サハラ以南アフリカのどこかに生まれるはずだ。

 米国と協力する世界の各機関が「エイズフリー世代」の実現と呼んできた取り組みの成果は、10年前には考えられなかったもので、HIV感染とエイズ(AIDS、後天性免疫不全症候群)対策の長い闘いにとって新たな一歩となる。

 HIVの母子感染は、HIVのまん延を抑えようとする各国政府や機関にとって懸念材料の1つだった。しかし、抗レトロウイルス薬と投薬治療の向上によって妊娠中、または授乳中の母子感染の確率は現在、劇的に減った。

 母子感染を避けることができた100万人目の子どもの誕生と時を同じくして、18日には「米国大統領緊急エイズ救援計画(US President's Emergency Plan for AIDS ReliefPEPFAR)」が発足から10周年を迎えた。

 米国のエリック・グースビー(Eric Goosby)世界エイズ対策調整官によれば、世界では現在、年間約43万人が母親からHIVウイルスに感染した状態で生まれているが、母子感染率が大きく下がったのは2009年以降だ。同調整官はPEPFARがこの3年間で国連合同エイズ計画(UNAIDS)、国連児童基金(ユニセフ、UNICEF)との連携を強化してきた成果だと強調する。PEPFARでは2015年までにHIVの小児感染をほぼ根絶し、同時に母親の生存を支援することを目標としてきた。HIV感染新生児の数をまずは約3万人まで削減することを目指している。(c)AFP/Jo Biddle