【6月17日 AFP】穴だらけの入国管理、政治的腐敗、そして一獲千金の機会から、ガーナには大勢の違法金採掘者が集まって来るが、違法採掘者らは遠く中国からも来ており、当局はこれまでに一斉摘発で中国人150人以上を拘束したという。専門家が語った。

 アフリカ大陸第2位の産金量を誇り、政情不安定な西アフリカにおける安定化の先導役と言われるガーナは、小規模の金採掘が及ぼす影響に苦慮している。これらの小規模金採掘は外国人の参入が違法化されており、また、環境破壊をもたらすとされている。

 著名な金融アナリストのシドニー・ケイスリーヘイフォード(Sydney Casely-Hayford)氏はガーナの既存の指導者・実業家層が、こうした金採掘を奨励しており、取り締まりでは違法採掘を止めることはできないと述べる。

「(金採掘は)手っ取り早い金もうけだ」と、ケイスリーヘイフォード氏は述べ、「違法採掘には打つ手がない。既存の当局者と産金会社、中国人のいずれもが金を欲しているからだ。彼らは皆、ゴールドを求めている」と述べた。

 違法採掘排除の圧力が高まる中、ジョン・ドラマニ・マハマ(John Dramani Mahama)大統領の命令で設置された警察、移民、国家安全保障各当局者からなる特別チームは先月、違法採掘を一掃する計画に乗り出した。当局は、違法採掘により貯水や環境に悪影響が及んでいると非難している。

 ガーナの入国管理局の報道官によると、先週拘束された外国人168人は大部分が中国人で、他にロシア人6人も含まれていた。中国政府は違法採掘に関与した中国人の本国送還などで協力しているという。

 アフリカにおける原油その他の天然資源の市場と権益の獲得を目指す中国はアフリカへの投資を増やしており、さらに中国とガーナの2国間貿易は大幅に拡大している。それらに支えられ、中国は近年、ガーナとの距離を接近させている。

 ガーナは石油産業が始まったばかりで、中国は投資に関心を示している。ガーナは2011年、天然ガスのインフラ建設のために中国から8億ドル(約770億円)の融資を受ける計画を発表した。

 また同年、ガーナ政府は中国の統計を引用し、電力事業や水供給、道路建設などを含め、ガーナ国内で中国企業500社以上が営業していると発表した。

 金の違法採掘への関与はここから急速に拡大した。

 中国の在アクラ(Accra)大使館高官は、ガーナ国内に滞在する中国市民を把握する制度を大使館が持っていないため、どの程度の中国人が金採掘に関わっているか知らないと話した。

 違法採掘にはアフリカ諸国の出身者も参入している。ガーナ当局は6月初め、ニジェールなど西アフリカ出身の計57人を金の違法採掘で拘束した。

 ガーナ入国管理局の報道官は、違法採掘に携わる中国人の多くが入国許可を取得して入国している一方、域内の自由移動が条約で認められている西アフリカ地域の国籍保有者の数は把握できていないと説明した。(c)AFP/Chris Stein