【6月15日 AFP】ノルウェー議会は14日、徴兵対象を女性にも拡大する法案の審議を行い、大半の政党がこれに合意した。これを受け、同国は欧州で唯一、平時に女性を徴兵する国になる見通しになった。

 中道左派政権が「性的に中立な」軍にするためとして議会に提出したこの法案には、議席を持つ政党のうち小規模政党のキリスト教民主党を除くすべての党が賛成した。採決の日程は未定だが、法案は大差で可決される見通しだ。

 国防省の提案内容からすると、ノルウェーでは1年間の徴兵義務が、おそらく2015年から、女性にも拡大されるとみられる。国防省報道官は法案について「(可決・施行されれば)ノルウェーは、平時に女性も徴兵する欧州初の国になる」と述べた。

 法案は男女平等と軍内部における能力の多様化に向けた一歩とみられており、徴集兵の不足によるものではない。徴兵対象となる国民は約6万人いるが、実際に徴兵されるのは年間8000~1万人にとどまっている。徴集兵は心理検査と身体検査の結果、および兵役に就く意欲を評価して選ばれる。

 ノルウェーは1976年から自ら志願する女性に兵役に就くことを認めている。現在は軍に入る兵士の約1割が女性だ。ノルウェー国防省は「性的に中立な兵役」という方針を採用する前から、軍における女性の割合を2020年までに20%に引き上げる計画だった 。

 欧州の多くの国ではここ数年、ノルウェーとは逆に、徴兵ではなく職業軍人を採用して軍を組織する制度に移行する動きがみられている。欧州以外ではイスラエルなど数か国で女性を対象にした徴兵が行われている。(c)AFP