【6月16日 AFP】香港(Hong Kong)のかつての玄関口、啓徳空港(Hong Kong Kai Tak International Airport、旧香港国際空港)の跡地に12日、約11億ドル(約1030億円)の資金を投入して開発したクルーズ客船の発着港が開港した。

 アジアにおける豪華客船のハブ港となることを目指している。最大係船能力は22万総トンで、世界最大級のクルーズ客船を係留できる。

 香港政府観光局のフィリップ・ユン(Philip Yung)長官は「香港の伝説的な空港だった啓徳が今、香港と世界を7つの海で結ぶ新たな歴史の1ページをめくった。新施設とともに、香港は大型クルーズ客船の受け入れに本腰を入れる」と述べた。

 香港の街を360度眺めわたせるターミナルには、2か所のバース(停泊所)が設けられる。最初に入港した大型高級クルーズ客船は、米客船大手ロイヤル・カリビアン・インターナショナル(Royal Caribbean International)の「マリナー・オブ・ザ・シーズ(Mariner of the Seas)」号(全長311メートル)で、下船した3000人を超える乗客は獅子舞の歓迎を受けた。

 米国から来たアーティストのジョージ・ランソン(George Lamson)さん(74)は「私たちの好きな港はベネチア(Venice)だが、ここはベネチアを越えている」とコメント。名高いビクトリア・ハーバー(Victoria Harbour)に入港する際の眺望に驚嘆したと語った。退職し英国から来たというバレリー・ブレークウェイ(Valerie Blakeway)さん(65)も、啓徳ターミナル初の来訪客となったことを「大変光栄に思う」と述べた。

 旧啓徳空港は香港市街中心部に位置し、高い山に囲まれていることから、航空機の着陸が最も難しい空港として知られていた。70年以上にわたって利用されたが1998年に閉港し、香港の玄関は現在の香港国際空港(Chek Lap Kok International Airport)に変わった。

 クルーズ客船のターミナルの一般利用は今年の第3四半期から。2つ目のバースは2014年にオープン予定だ。(c)AFP