【6月12日 AFP】今年1月までの約10か月にわたり、マリ北部を掌握したイスラム武装勢力が破壊した寺院などの史跡における被害の規模は当初考えられていたよりも大きかったと、国連教育科学文化機関(ユネスコ、UNESCO)が7日、発表した。

 ユネスコがマリ北部に派遣した調査団のラザレ・エルンドゥアソモ(Lazare Eloundou Assomo)氏によると、調査団は国際テロ組織アルカイダ(Al Qaeda)とつながりのある武装勢力がもたらした被害の度合いに驚いたという。

 同氏は、首都バマコ(Bamako)から参加したビデオ会見で、「トンブクトゥ(Timbuktu)の史跡に対する破壊行為は、われわれの予想を上回るものだった」と述べた。当初、トンブクトゥでは11の霊廟(れいびょう)が破壊されたと考えられていたが、実際には15の霊廟が破壊されていた。うち9つはユネスコに登録された世界遺産の一部だという。

 アフマド・ババ文書研究センター(Ahmed Baba Centre for Documentation)では約4200点の古文書が焼かれ、またトンブクトゥ地域でもさらに30万点が違法に取引きされる恐れがある状況だという。

 15~16世紀のアフリカでイスラム教の中心地として栄えたトンブクトゥは、古文書が多く現存していることで有名。ユネスコは数百万ドル規模で寺院や古文書の修復計画を立ち上げている。(c)AFP